「Go To キャンペーンを今やらなきゃいけないのか?」「早く観光客が戻ってきてほしいのは山々ですが、リスクが大き過ぎる」―。政府が22日から開始する観光支援事業「Go To トラベル」について、京都新聞社は14~16日、双方向型報道「読者に応える」のLINE(ライン)に友だち登録している京都府在住者を対象にアンケートを行いました。「延期すべき」が圧倒的多数を占める一方、観光関係の職業に就く人たちからは感染リスクと経営難のはざまで悩む悲痛な訴えが多く寄せられました。
アンケートは、観光客が多く訪れ、関連した事業所で働く人も多い京都府内の在住者に絞って実施し、2090人から回答がありました。
予定通り実施すべきかについて2択で聞いたところ「延期すべき」が88・8%で「開始すべき」の11・1%を大きく上回りました。
職業が観光関係かどうかを尋ねる質問も設けましたが、「はい」と回答した人の中でも8割強が「延期すべき」を選ぶという結果になりました。
一方で、「キャンペーンを使って他府県に出かけたいですか」という問いには、26・4%の人が「行きたい」としました。
アンケートでは自由記述欄を設けました。やはり目立ったのは「まだまだ第2波が…という時に時期尚早だと思う」(京都市右京区の50代男性製造業)などの意見でした。
さらに「旅には出たいが、まだキャンペーンは早すぎる。その金を経営困難に陥ってる病院・医療関係者に使うべき」(京都府宇治市の60代男性)「観光業も大変だが、まずは医療従事者のケアが必要だと思う」(京都市伏見区の60代男性)など、新型コロナ禍の最前線に立つ医療分野に予算を回すべきという声もありました。
今年は各地で豪雨災害が相次ぎました。「経済対策も必要なのは理解できるが、今回のGo To キャンペーンの予算は、大雨被害に遭われた方々への支援に回してもらいたい」(京都市右京区の30代男性会社員)など、被災者支援の優先を訴える声も見られました。
一方、観光関係の人はどう考えているのでしょうか。
リゾートホテルの従業員だという京都市東山区の50代女性は「Go To キャンペーンは観光の起爆剤になるかもしれないが、今の時期にすべきではないと思う。今は我慢の時期。ワクチンか治療薬ができて心から安心できる環境になってからすべきだと思う」として「延期すべき」を選びました。
京都府南丹市の旅館経営の60代女性は「延期すべき」とした上で「受け入れ側ではあり、お客様には来ていただき売上を上げたいところですが、今の状況でお客様が来られるかが不安ではあります」と苦しい胸の内を明かしました。
少数ですが、22日から「開始すべき」という声もあります。
京都府八幡市の30代男性は「旅行代理店やホテル、バス会社、団体客用のレストランは倒産の危機です。リスクを背負いながらも観光促進をすべきです」と訴えました。
京都市右京区の60代女性は「観光客の方に着物販売をしています。外国人が来ないのは仕方ないとしても、祇園祭等伝統的な行事やイベントが開催されないと、浴衣を始め着物を着る人が極端に少なくなり、店の存続が危惧されています。今、本当に後半の人生設計が変わってしまいそうで不安な毎日です」と悲痛な思いをつづっていました。
さらなる感染拡大への懸念声が高まっていることを受け、政府は「Go To」の対象から東京都発着を除外する方針を決めました。果たして新型コロナの感染抑制と観光振興を両立させることができるのか。事業の実施に踏み切った判断の妥当性が問われることになりそうです。
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