タレントのベッキーさんによる煮物の味付けについての問いかけが話題になっている。
7月16日、ベッキーさんは調理中に味見した時にくらべ、器に盛った後の煮物の味が薄く感じてしまうという内容のツイートをTwitter上に投稿。
「コンロの上の鍋の中の汁の味見した時は『よし!おいしい!』ってなってたのに
器に盛って食卓で食べると ちょっと薄く感じるのなんでだろう。
私もーっていう方います?🙋♀️🙋♂️
なんでだろう。」
この投稿に対し、多くの人が知恵と経験をふりしぼって回答合戦をしているというわけだ。
煮物を美味しく作るのは難しい。特にベッキーさんのように「ちょうどいい塩梅に作ったはずなのに……」という経験をしたことのある方は多いと思う。この現象はいったいどういった理由で引き起こされるのだろうか?まいどなニュースでは和食料理人の姫井隆之さんからお話をうかがってみた。姫井さんは神戸三宮で「旬彩割烹 姫膳」を経営するほか、平安時代以来の四條流庖丁道に通じ、食育の講師や調理師学校の教員としても活躍する名料理人だ。
中将:お鍋で味見した時と食卓で食べた時で味の濃さが変わってしまうのはどうしてでしょうか?
姫井:いくつか考えられますが、まずは味見の仕方ですね。僕たち料理人は味見をする時、指を出汁につけて、それを舌全体で舐めて味見するんです。これが一番正確です。
ご家庭では出汁を小皿に取ってから味見する方が多いと思うのですが、そうすると舌先だけで味見してしまいがちで、実際より濃く感じてしまうんです。少量口に含んですぐ吐き出すというコツはあるのですが、慣れないと難しいかもしれません。
指を鍋につけることに抵抗がある方は、一度おちょこのようなものに出汁を取ってから指をつけるて味見するといいかもしれませんね。
中将:味見の仕方にもプロならではのコツがあったんですね!
姫井:また、煮物の作り方は具材によって千差万別です。具材によって味の入りやすいもの、入りにくいものがあります。水分量の多いものには味が入りにくいし、後から水気が出てくることがあるので、それに見合った調理をしないと思った味に仕上がらないということがよくあります。こんにゃくはから炒りしてから煮たりしますよね。
中将:具材の水分量の見極めが肝心ということですね。
姫井:そうですね。濃い味に作りたいと思っても、はじめから濃い出汁で煮ると具材から水分が抜けて硬くなってしまう。たとえば鴨を煮るときははじめそのまま飲めるくらい薄い出汁を使います。そして途中で鴨をいったん引き上げて、出汁だけを煮詰め、冷やしてからまた鴨を漬け込みます。炊くだけで味が入るわけではないのでトータルで考えなければいけないのが煮物の難しいところです。
◇ ◇
お話をうかがって改めて煮物の奥深さに気付かされた。今回、ベッキーさんがどんな具材で煮物を作ろうとしていたのかはわからないが、とりあえずは味見の仕方から振り返ってみることをオススメしたい。
その上でベッキーさんがもし「もっと具体的な作り方を知りたい!」と思われたら姫井さんに紹介するので、ぜひまいどなニュースにお問い合わせいただきたい。
「旬彩割烹 姫膳」(HPリンク)
所在地:兵庫県神戸市中央区北長狭通2-5-1 タイシンサンセットビル5F
営業時間:17時30分~22時
定休日:土日祝日は完全予約制
※営業時間、定休日の最新情報はホームページをご確認ください