女子プロレス団体SEAdLINNNG(シードリング)所属のプロレスラー・世志琥(よしこ、26)さんが、動画投稿アプリTikTok(ティックトック)やツイッターにアップした料理動画が人気を呼んでいる。わずか10人だったTikTokのフォロワー数は、わずか1カ月で24万人に。ツイッターも12万人に届く勢いだ。イカツすぎる風貌と、女子力高めの料理のギャップが魅力。おそるおそる世志琥さんに話を聞いてみた。
5月19日にアップしたばかりの動画では、100均で売っているクマのプーさんの型でプリンづくりに励んでいた。「プリン作ってみたぞこの野郎!プーさんが好きなんじゃコラ!」。カメラに向かってメンチを切り、怒声を上げる世志琥さん。レシピはわかりやすく簡潔だ。出来上がったプリンをほおばり、リング上とは対照的なかわいい笑顔を見せる。その落差が、リツイートやいいねの嵐を呼んでいる。
動画をTikTokやツイッターに載せ始めたのは4月13日から。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロレス興行が自粛。3月下旬からリングに上がれない状況が続いていた。「自分のことをどうやって発信していけばいいのか…」と悩む世志琥さんに、所属団体の宣伝部長を務める人気ティックトッカー・あぃりDXさん(デラックス、22)からプロデュースの申し出が舞い込んだ。
TikTokのフォロワー21万人を誇るあぃりDXさんは、全日本女子プロレスの人気リングアナウンサーでテレビなどでも活躍した故・今井良晴アナの娘。2人のタッグによる料理動画がバズり始めてからは、はやりのスイーツなどを調べ、キッチンに向かう日々だという。「小麦粉とかが、スーパーに売っていなくて探しまくり。家のわずかなものを使っています」と苦労を語る。
世志琥さんが腕をふるった「100日後に死ぬワニ」のワニくんや「あつまれ どうぶつの森」に登場するたぬきちのクッキーは、完成度が高い。レディース風の見た目に似合わず、昔から料理が趣味だという。「スイーツなどをよく作っていたので、ギャップを狙ったわけではないんです。料理を気軽に見られるのが面白いのかも」と、ステイホームの時勢ともマッチ。ワイドショーの取材なども殺到している。
わずか1カ月で、女子プロレスラーとしては最多のフォロワーを誇るようになった。TikTokでの人気爆発で、女子中高生にも名前が浸透。SNSでの認知度アップを、プロレスの観客動員につなげたいと話す。目標はプロレスの聖地・後楽園ホールを満員にすること。「リングに立って満員のお客さんを見渡した時に、はじめてやってきたことが実感できる」と夢を語る。
興行再開のめどは立っていないが、リングに再び立つ日までトレーニングと、料理動画のアップは止めない。世志琥さんは「てめえら、いつも動画見てくれてありがとうな。コロナが収束したら、絶対試合見に来いよ!そこんとこヨロシク!」とすごんだ。