「野老」…この名字、読めますか? 東京五輪のエンブレムをデザインしたアーティストの名前で話題に

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「野老」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩が日本人の難読名字を紹介します。

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世界中に蔓延する新型コロナウイルスの影響で、2021年7月まで1年延期された東京五輪。そのエンブレムである組市松紋をデザインしたアーティスト野老朝雄氏の名字だ。決定した当時、この難読名字が話題になったが覚えているだろうか。

「野老」は千葉県独特の名字で、東金市と大網白里市に集中しているほか、成田市付近にもある。これで「ところ」と読み、その由来は植物である。

「ところ」とはヤマノイモ科の野生の植物で食用にはなるが、苦いので「とろろ」にはせず、あくを抜いて食べることもあった。

この「ところ」には多くの髭根が生えており、昔の人はこれを老人の髭に見立てた。そして、海の中で腰の曲がった形をしているエビを「海の老人」に見立てて「海老」と漢字で書いたのと同様、多くの髭根の生えている「ところ」を、「野原にある髭の生えた老人」に見立てて「野老」という漢字をあてたものだ。

なお、埼玉県所沢は、古くは「野老沢」と書いたといい、高知県には「野老山」と書いて「ところやま」という名字もある。

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