「日馬」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩が日本人の難読名字を紹介します。
◇ ◇
年配の方を中心に、これは読めると思った人も多いだろう。しかし、「はるま」と読まなかっただろうか。
というのも、大相撲で2012年から2017年にかけて足掛け6年、31場所横綱をつとめたモンゴル出身の「日馬富士」という力士がいたからだ。この力士のしこ名の読み方が「はるまふじ」だったことから、今でも「日馬」を「はるま」と読んでしまう人が多い。
この名字を正しく読むためには、「日下」という名字が読める必要がある。
「日下」は古くからある名字で「ひのした」とも読むが、「くさか」と読むことが圧倒的に多い(日下も難読だ)。ここから、「日下」で「くさか」と読むなら、「下(か)」を「馬(ま)」に変えたら「くさま」になるだろうということから、「日馬」と書いて「くさま」と読む。
実は、新潟県の上越地方には「草間」という名字が集中している。昔は、分家すると漢字を変えることは珍しくなかった。草間さん達のうち、分家した人の一部が「くさま」に「日馬」という漢字あてて名乗ったもので、現在は糸魚川市の旧能生町に集中している。