厚生労働省が公表している「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年2月13日時点版」によると、人から人への感染は認められているが国内での流行が認められる状況ではないという。また、「屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません」とする一方で、「予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられます」とも書いてある。
感染するリスクがゼロではない以上、われわれ一般人が採り得る対策は人込みを避けるほかにマスクを着用するくらいしかない。そして今、使い捨てマスクの品薄状態が続いている。貴重なマスクだからこそ、効率よく身に着けたいもの。どうすればマスクで感染を防ぐことができるだろうか。知っているようで知らなかった、マスクの選び方、使い方についてまとめた。
どんなマスクを選べばいいの?
ドラッグストアや薬局の店頭には、じつにさまざまな種類や用途別のマスクが売られていて、どれを選んだらよいのか迷ってしまう。次に挙げるチェックポイントを参考にして、自分にあったマスクを選びたい。
〔マスク選びのチェックポイント〕
○購入前
・ホコリ・花粉・ウィルスなど、何から守りたいのか目的別に素材・機能・形状・サイズを決める。
○購入後
・顔とマスクの間に隙間ができないか
・耳掛け紐で耳が痛くならないか
・呼吸は苦しくないか
・素材がゴワゴワしたり柔らかすぎたりして不快感はないか
ウィルスの感染予防のためには、どのようなマスクを選べばよいだろうか。一般社団法人・日本衛生材料工業連合会(日衛連)専務理事の高橋紳哉さんによると、「一般に売られている家庭用でも、ウィルス飛沫を防ぐ効果があるものを選んでください」とのこと。ウィルス飛沫に対応できるマスクかどうかは、パッケージに表示されているという。
ウィルス飛沫というのは、たとえば咳やクシャミをしたときに飛び散る、ウィルスが付着した唾液や鼻水の飛沫のことで、大きさは3~5ミクロン程度。そのため20~30ミクロンの花粉にしか対応できないマスクでは防げないという。一方、飛沫を防げるマスクでもウィルスの単体については「マスクの生地より小さいため、防ぐことはできません」とのこと。
医療用・工業用のマスクを付けても効果あるの?
救命救急の現場で活動する医師によると、一般的な医療用マスクは白か青といった色の違いがあるだけで、実は市販されている風邪用マスクとほぼ変わらないという。市販されている製品との違いといえば、紐が紙になっていて、長時間着けていても耳が痛くならずフィット状態が保てることだという。
一方、産業用マスクは、フィルターの性能にもよるが、厚生労働省が定める規格では粒子径が0.06~0.1ミクロンに対応できることが求められている。ウィルス単体の大きさは0.1~0.3ミクロンなので使えそうだが、使い捨てできないタイプだったら処分に困る。したがって、使った後で簡単に処分できるのであれば、代用しても差し支えなさそうだ。
サイズのあわないマスクをしていても大丈夫?
せっかくのマスクの性能を活かすためには、顔にぴったりと密着した空気の漏れが少ないものを選ぶことが大切だ。自分の顔にフィットするマスクは片手を使って下記の要領で簡単に選ぶことができるという。
1)親指と人さし指でL字形を作る。
2)L字形にした状態で、親指の先端を耳の付け根に当てる。
3)L字形にした人さし指の先端を、鼻の付け根から1cm下に当てる。
4)親指と人さし指の間の長さがマスクのサイズの目安になる。
・9~11㎝:子ども用サイズがおすすめ
・10.5~12.5㎝:小さめサイズがおすすめ
・12~14.5㎝:普通サイズがおすすめ
・14㎝以上:大きめサイズがおすすめ