これが大阪の常識や!コロッケにタマゴサラダを挟んだ、正真正銘の「コロッケサンド」が人気

平藤 清刀 平藤 清刀

「コロッケサンド」といわれて、みなさんはどのような形状を思い浮かべるだろうか。食パンやコッペパンにコロッケがはさまれている様子を多くの人は思い浮かべると思うが、大阪南部の常識はちょっと違う。こちらでは、コロッケを半分に切って、タマゴサラダをはさんだ正真正銘の「コロッケサンド」が人気だ。

販売しているのは、大阪市東住吉区の駒川商店街にある惣菜屋さん「デリカ天寅」。駒川商店街は大阪を代表する商店街のひとつで、大小10の商店街が東西190m、南北540mの規模に広がっている。デリカ天寅は、近鉄「針中野」駅から西へ伸びる通りと南北に走るメイン通りの交点という商店街の一等地に店をかまえる。数ある商品の中でも、ひときわ変わったコロッケサンドは、パセリとケチャップでトッピングされた可愛い外観もウケて、老若男女、年齢層を問わず人気だという。

デリカ天寅専務取締役の澤内善紀さんによると、デリカ天寅は1975年に天満で開業し、杭瀬、尼崎、千林と場所を変えながら営業を続け、1981年に駒川商店街へ移ってきた。揚げ物中心の惣菜屋さんとして人気だったが、もうひとつお客さんの心をつかむ商品が欲しいと考えて、先代がコロッケに卵を挟むアイデアを思い付いたのだという。それが1989年のこと。

「アレルギーとか個人の好みは別として、コロッケとタマゴが嫌いな人って、そう多くないですよね」と澤内さん。

形はすぐにできたが、味には研究を重ねた。

「当店のコロッケは味がしっかりしています。その味に負けないように、マヨネーズの配合を工夫した自家製のタマゴサラダを挟んでいます」

商品化したとき、案の定、模倣する店が続出したという。だが「形はマネできても、味は真似できません」と胸を張る。そして「コロッケにタマゴサラダを挟む」というシンプルな形でも、製造は意外に時間と手間がかかるという。ざっくり説明しよう。

(1)コロッケを揚げて、いったん冷ます。冷ます工程が大事で、もしアツアツのままタマゴサラダを挟んだら、お客さんが家に帰りつく頃には傷んでしまうそうだ。

(2)コロッケの形を崩さないように切れ目を入れる。

(3)自家製のタマゴサラダを挟む。

(4)こんな感じでパッケージに入れる

(5)パセリとケチャップでトッピングする。

(6)パッケージにシールを貼って完成。

すべて手作業でやって、しかも1個108円で販売する。

「この値段設定も、他店では真似できないでしょう。採算は厳しいですが、お客さんを呼び込む看板商品です」

1日平均で200~300個、多い日で500個は売れるという。揚げ油は、冷めてもベトベトしにくいキャノーラ油を使用している。

澤内専務曰く「当店では、コロッケサンドを常温のまま召し上がっていただくことを推奨しています」。

電子レンジでチンすると、タマゴの味がコロッケに勝ってしまい味がアンバランスになるそうだ。

「それでも温かい方が好きな人は、オーブンで軽く焼くていどがいいと思います」

さて、実際のお味は? ―試食してみたかったが、残念ながら筆者は卵アレルギーなのである。ぜひご自身の舌で味わってみてほしい。

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