「何で私ばかり…親が恨めしかった」育児と介護の『ダブルケア』に仕事…ある女性が暗闇から救われた理由

広畑 千春 広畑 千春

親も子も慣れるには時間が必要。働き続けるため「その間」の支援を

 「例えば朝食の後1時間ぐらいすると、その日の体調によっては不安になることがある。だから何かあればすぐ帰れるよう、その時間帯に通勤途上で1本電話を入れる。夜8時ごろは風呂場でトラブルが起こりやすいので自分が入るのは避ける。職場でもなるべく午前中はアポを入れず、自分が不在でも対応できるよう情報を共有するように。半年ぐらい過ぎたころ、最初ほどの負担は感じなくなったといいます。

 「親も、今まで普通にできていたことが突然できなくなり、ショックが大きい。伴侶だって、何十年と一緒に生きてきた相手の変化に慣れないし、理由が分からないから苛立ってしまう」と橋本さん。「介護する子どもだって、甘えられる相手が突然支えなければならない人になり、困惑する。慣れるまではいつまで続くか分からない真っ暗闇。でも『絶対に出口はある』と知ってほしい。今はその情報が少ないだけ。私は時間がかかったけど、慣れる時間をどれだけ短くできるかは経験者に聞くのが一番」と言い、「できるだけ一人で関わらないで、不安やストレスは吐き出して」と話します。

 そして「『働き続けられる環境』が第一」とも。今は「仕事と介護の両立」について各地で講演を依頼され、経験を語ることも増えたといい、「私は、仕事をしていることで自由になれた。介護とも育児とも違う自分の顔と時間を持てることが安らぎになったし、この経験を活かせることが嬉しい」と話します。

 親の介護で、学ぶこと、思い知ることは非常に大きいもの。その経験を個人のものだけにせず、広げられるなら、その会社だけでなく社会にとっても、大きな財産になるのではないでしょうか。

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