徳川家ゆかりの大寺院にある国宝の門をステージに、若手僧侶が躍動する。といっても披露するのは読経でなく、ブレークダンス! そんな意外な取り合わせのショーが11月4日、京都市東山区の知恩院(浄土宗総本山)で行われる。下手をすると「不謹慎」と批判を浴びかねない企画だが、出演する僧侶たちは「米国で生まれたブレークダンスには仏教に通じる願いがある。ダンスをきっかけに若い人たちにお寺や仏教に興味を持ってほしい」と真剣に練習に励んでいる。
11月1日に始まる「知恩院秋のライトアップ」の一環で、出演者は知恩院の僧侶職員河原浩紀さん(24)と天台宗(総本山・延暦寺、大津市)の僧侶職員飛鳥井成實[じょうじつ]さん(24)のユニット「廻天[かいてん]坊主」。2人は佛教大の同級生で大学のダンスサークルでも一緒だったといい、当日は作務衣(さむえ)姿でダンスする。
出演が決まったのは今年5月。河原さんが上司たちと秋のライトアップの企画を打ち合わせしている際、大学時代にブレークダンスをしていたと話したところ、上司が乗り気になり実現へと動き出した。
河原さんは10月上旬、出演にあたっての思いを知恩院の公式インスタグラムにこうつづった。
ブレークダンスは米国でギャング同士の抗争をやめさせる目的で始まり、人種や国籍を問わないダンスに発展した。だから、ブレークダンスは「平和」や「平等」の願いに通じる。さらに、平和や平等は仏教を開いた釈迦[しゃか]や浄土宗の宗祖法然の教えにもつながる-。
河原さんは「ダンスの前には法話もする。来場する若者がお坊さんに興味を持つような機会にしたい」と意気込む。飛鳥井さんは「宗派の壁を越えて、仏教の教えを広める役に立てば」と望んでいる。
ライトアップは11月1日~12月1日まで。ブレークダンスショーは4日午後5時45分からと午後7時15分から。拝観料は大人800円、小中学生400円。