「保育園開設予定」で宅地購入→計画とん挫で待機児童に 売主の責任は問える?

広畑 千春 広畑 千春

 ―そうなんですね…。厳しい…。

 「ただ、購入者は、『開発地のマンションや宅地の住民専用の』認可外保育園が併設されると思っていたのに、実際計画されていたのは『住民かどうかに関係なく、自治体の振り分けで入園者が決まる』認可保育園だった場合には、購入者の認識と事実が異なるので、『錯誤』にあたります。その上で、無効を主張するためには、購入時に『認可外保育園ができるから購入する』『子どもが通う保育園を確保したいから買う』など、認可外保育園が併設されることが購入の動機になっていると、開発事業者に示しておくことが必要です」

 ―示していたら、認められることもあるんですか?

 「ええ。ただ、実際に予定されていたのが認可保育園であっても、購入者が認可外保育園だ、もしくはマンションや宅地住民は確実にその保育園に入園できると認識したことに重大な過失がある場合には、無効を主張することはできません。チラシや看板に「保育園開園予定」とあるのみで、どちらか明記されていなくても、物件の資料や案内で『認可保育園であること』『住人の入園も確実でない』ことが説明されていた場合には、購入者の『重大な過失』が認定され、無効を主張できなくなることがあります」

  先の事例では幸いすぐに新しい事業者が見つかりましたが、とはいえ、たとえ数年の遅れでも利用する親子にとっては一大事。子どもの発育段階も大きく異なりますし、安心して預けられる場所を確保できなければ仕事に集中することもできません。「保育園開設予定」とうたわれていても、具体的な建設計画を聞いたり、自治体側に問い合わせたりするほか、いざという場合に備え周辺の保育施設の空き状況なども併せて調べておくほうがよさそうです。

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