400年以上の歴史を持つ、日本最古の芝居小屋「南座」(京都市東山区)。昨年の改修で新しく採用された、1階座席をすべて取り払える機構「客席フルフラット化」を活かした新しい試みとして、イベント『京都ミライマツリ2019』が、5月25日まで開催されている。
リニューアルオープン記念の一環で、歌舞伎を中心とする舞台公演に加え、アリーナ空間を最大限に活かせるイベントを自ら企画した南座。1階に屋台やクラブブースを持ち込み、劇場を丸ごとお祭り空間に変えるという、長い歴史のなかでも例のない試みに挑戦した。
「伝統を大切にしつつ新しいことのできる企画を募り、『お祭』ならそのアイデアをひとつの空間で実現できる」と、南座宣伝の石田佳耶さん。内部からは不安の声も少なからず上がったそうだが、「今回ご協力いただいたネイキッドによる最先端のデジタル技術を見て話し合い、その不安を解消していきました」という。
その結果、本物の水を大量に使う、歌舞伎の大仕掛け「本水(ほんみず)」を活かしたプロジェクションマッピングや、カラフルな照明と大音響で劇場空間をクラブさながらの雰囲気にするなど、異色の空間が出現。食や縁日遊びの屋台が並び、「川床」をイメージしたお座敷エリアが登場した。そもそも『歌舞伎』は「かぶく=常識から外れる」が語源なので、これは歌舞伎の劇場そのものが「かぶき」に挑んだと言えるだろう。
歌舞伎の間口を拡げる企画も多数あり、三大名作のひとつ『義経千本桜』をテーマとしたインタラクティブな体験、片岡愛之助が映像で流れるAR体験(以上昼のみ)、かけ声をかける大向う気分を味わえる「歌舞伎シャウト」なども。また、化粧法「隈取(くまどり)」の柄を選べるビール(600円)や、定式幕色の「歌舞伎アイス」など、「南座」仕様のフォトジェニックな飲食も楽しめる。
実際、長年の歌舞伎ファンからは「歌舞伎らしさが感じられない」という戸惑いの声も聞かれた。しかし、「いつもはおごそかな空間が、こんなに華やかになるなんて」「みんなで一緒に踊るとか、普段の南座だとできない体験」と、このイメージ破りを支持する30代の女性歌舞伎ファンも。また今回初めて南座に入ったという20代の男性は、「すごく古風な空間に未来の技術があるという、そのギャップが面白い」と感銘を受けたようだった。
11時から17時半まで「昼マツリ」(~25日まで)として開催され、フードフェス『ミライマツリフードフェス』も。18時半からはダンスフロアとなる「夜マツリ」(~24日まで)に。共に入場料金は2000円。週末には有名DJやアーティストが登場し、12日はTOMOYUKI TANAKA(FPM)、SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO)、17日はtofubeats、18日はEXILE MAKIDAI(PKCZ(R))らが出演。入場料金は3000円(以上料金は全て1ドリンク付き)。
『京都ミライマツリ2019』https://www.miraimatsuri.com