レゲエ風やテクノ調も登場、盆踊り人気リバイバル! 各地で参加「盆オドラー」も

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京都造形芸術大の学生たちが企画した盆踊り大会。時代に合った運営方法や楽しみ方など、復活の兆しが見え始めている(10日夜、京都市下京区・大丸京都店)
京都造形芸術大の学生たちが企画した盆踊り大会。時代に合った運営方法や楽しみ方など、復活の兆しが見え始めている(10日夜、京都市下京区・大丸京都店)

 夏の風物詩として各地で催される盆踊り。いずこも存続への課題を抱える中、京都市内では復活に向けた動きも相次ぐ。地域活動をサポートする団体の支えや、新世代のファン層の広がりを受けて、世代を超えた交流の結び目となる役割が再評価されている。

 7月28日夜に左京区で催された「錦林盆踊り大会」。プロの音頭取りが正調の節回しを響かせれば、キーボードやパーカッションも入った音頭バンドがレゲエ風に続ける。新旧の様式を自在に行き来しつつ、江州音頭が約3時間にわたって繰り広げられ、老若男女約800人が踊りの輪に加わった。

 かつて盆踊りは地域の夏のメイン行事だった。錦林盆踊りの地元・高岸町自治会の仲川正子さん(69)は「昔はあちこちで盛大に開いていて、よそのも見に行ったりしてました」。しかし、高齢化で担い手が減ったことなどから激減。高岸町でも四半世紀ほど前から行われなくなった。

京都で一番熱い盆踊りに

 転機は4年前。地域活動を支援する市左京東部いきいき市民活動センターがイベント開催を提案した際、真っ先に候補に上がったのが盆踊りの復活だった。同センターを管理するNPO法人「劇研」の杉山準理事長は「若い頃は夜中まで踊ったと懐かしむ住民たちの声に強い思いを感じた」

 地域の思いをくみ取る形で同センターが企画をプロデュース。絶える寸前だった地域独特の振りを伝える練習会を、住民だけでなく一般にも広く開放した。一方、長年小劇場を運営していた劇研の人脈と経験を生かし、音頭バンドなどの新たな仕掛けも。奮闘に刺激を受け、自治会でも屋台の食べ物とゆっくり楽しめるテーブルを用意するなど、アイデアを膨らませた。

 復活から4年。今年も踊りの練習や本番に、地域を離れた子の世代が孫を連れて参加する。近くの永観堂などを訪れる外国人観光客たちも踊りの輪に連なる。世代や国を超えたつながりが生まれ、今や一部愛好者の間では「京都で一番熱い盆踊り」として知られる。仲川さんの夫で自治会長の信宏さん(67)は「今後もにぎやかに続けていきたい」と笑顔を見せる。

 劇研は市左京西部いきいき市民活動センターでも、養正学区で各種団体とともに17年から夏祭りを開催、柱の一つに盆踊りを据えた。同様に、支援組織の企画立案で盆踊りを復活させる動きが広がり、別の法人が運営する市醍醐いきいき市民活動センターでも、9月に20~30年ぶりとなる開催へ準備を進めている。

盆オドラーはSNSで

 若者の盆踊りに対する見方、楽しみ方の変化も復活を後押しする。「盆オドラー」と称される新しいファンたちは、「連」のような団体でなく、個人行動が参加の基本。会員制交流サイト(SNS)などを通じて各地の盆踊りの情報を集め、感想を発信し合う。

 カフェオーナーの若林麻耶さん(35)=左京区=もそんな一人。「誰もが輪に入れる」敷居の低さと、「同じ振りを繰り返すうちに生まれる一体感」に引かれ、シーズンには週数カ所を巡ることもあるという。

 盆踊りそのものに、時代に合った新しい価値を加える動きも。8月10日夜、下京区の大丸京都店で京都造形芸術大の学生が披露した創作盆踊り「リカミック」には、認知症予防のアイデアが込もる。

 江州音頭がモチーフのテクノ調の曲に、健康体操の要素を取り入れた。会場にデパート屋上を選んだのは、多世代の交流や人目に触れることで、心身に張りを与えられるとの狙いからだ。お披露目では学生や買い物客ら約200人が踊りに連なった。盆踊り初体験の学生たちは「周りの人とのコミュニケーションが楽しい」「決まった振りも、周囲との息で変化するのが面白い」と目を輝かせた。

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