ウイスキー「山崎」が品薄になった背景とは?ハイボールブームと反比例…希少品は1杯2万3000円も

北村 泰介 北村 泰介
「山崎」の(左から)「12年」「ノンエイジ」「18年」、木箱に入った「18年ミズナラ」=都内
「山崎」の(左から)「12年」「ノンエイジ」「18年」、木箱に入った「18年ミズナラ」=都内

 サントリーのウイスキー「山崎」が世界的な人気ブランドとなり、飲食店や酒類販売店で手に入りづらくなっている。その実態を街に出て検証した。

 東京・新宿の老舗バー。メニューに「山崎」はあった。さっそく注文した。スタッフが「ないかもしれません。確認してみます」とバーテンダーに確かめると、「ありません」と即答が返ってきた。

 いつから品切れなのかと尋ねると、「今年から」という。「大人のお酒に憧れる若い女性にも人気がありました」という「山崎」だけでなく、「マッサンが話題になった頃はニッカがなくなりました」とも。「マッサン」とはニッカウヰスキーの創業者をモデルとした2015年のNHK連続ドラマ小説のこと。ただ、「山崎」に関しては一過性のブームだけではなかった。

 「山崎」はウイスキーづくり60周年を記念して1984年に発売された。大阪府三島郡の山崎蒸溜所で生産され、海外では03年に世界的な酒類品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」で「山崎12年」が金賞を受賞して以降、各コンペティションで高い評価を得ている。

 「日本を代表するシングルモルトウイスキーと考えております。山崎蒸溜所の見学者に占める外国の方の割合もここ5年で約3倍となっており、アジアの方も含め評価いただいていると感じております」。サントリーの担当者は説明した。

 その人気にも関わらず、いや、その人気ゆえに品薄になった背景を探った。国産ウイスキーの消費量はバブル期から下降して00年代半ばごろまで落ち込んでいたが、ハイボールの再評価ブームで、ここ約10年はV字回復。同社は「ビールやチューハイのように若い人が食中に飲むお酒にしたかった。『角瓶』というブランドでハイボールを訴求し、ジョッキで飲むスタイルを定着させたことでムーブメントを起こせたと考えている」という。

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