振り返れば仏像がいる。
目の前にも仏像がいる。
右を見ても左を見ても、やはり仏像がいる。
大阪・福島区の野田新橋筋商店街にある喫茶店「篝(かがり)」は、店の至る所に仏像が祀られていることで有名だ。手のひらサイズから、人の背丈ほどもあるものまで、その数ざっと30体。店主の森澤天一朗さん(75)が、40年ほど前から置き始めたという。
森澤さんが篝をオープンしたのは1970年。以後、順調に店舗を増やし、一時はこの近隣だけでも4店舗を経営していたという。
16歳でこの道に入った森澤さんが仏像を集めるようになったのは、ある高僧と知己を得たのがきっかけだった。最初に入手したのは、如意輪観音像。その後も「いろんなルート」(森澤さん談)を辿り、コレクションを増やしていった。森澤さんは「仏像の出所は全部ちゃんとしとる。ええ加減なものはひとつもないで」と胸を張る。ちなみに自宅にも結構な数の仏像があるらしい。