蝶野正洋“黒の夏バテ対策”とは~冷房は自分の適正温度でタイマー不要

北村 泰介 北村 泰介
救急救命の啓発活動に打ち込む蝶野正洋。猛暑でも夏バテを事前に防いで精力的に動く=都内
救急救命の啓発活動に打ち込む蝶野正洋。猛暑でも夏バテを事前に防いで精力的に動く=都内

 7月に入って猛暑日が続き、夏バテが懸念されている。ヤフー検索の調べによると、今の時期にその関連ワードを検索するユーザーが増えるという。そこで「夏バテ対策」をテーマに、夏場に実力を発揮してきた有名人にポイントを聞いた。今回、登場するのは日本マット界で“夏男”と称されたプロレスラー・蝶野正洋である。

 新日本プロレス時代、真夏の祭典「G1クライマックス」で最多の5度優勝を誇る。1991年の第1回大会から2連覇し、94年の第4回大会でも3度目Vを達成。“アラフォー”となった2002年と05年も優勝。その実績から「夏男」の称号を得た“黒のカリスマ”はどのように夏を乗り越えてきたのか。

 蝶野は「どれだけクーラーを上手に使うか」をポイントに挙げた。「昔からの『冷房を使わずに我慢する』という発想は辞めた方がいい。30度を超える夏場は快適な温度設定にすべき。自分は25度。寝ている時も、ずっとかけている。北海道では冬場にセントラルヒーティングでずっと室内を暖めているが、あの逆だ。環境省が推奨した『室内温度28度』にこだわる必要はない。自分の適正温度を見つけること。俺は25度だが、26度の人もいるだろう。それぞれが快適な温度を知るべき」

 一般的には、入眠時の短時間でスイッチが切れるようにタイマー設定すべきという考えが多いが、タイマーが切れてから暑さが蒸し返し、寝汗をかきながら何度も目が覚めてしまう経験をした人も少なくないだろう。寝不足も夏バテの要因となるだけに、熱帯夜には、蝶野流の“黒の冷房術”で熟睡することも理にかなっている。

 G1の終盤戦が行われる東京・両国国技館は「最新の空調施設があって何の問題もなかった」というが、大変だったのは地方興行だった。「冷房がない体育館でリングの温度は40度くらいになっていた。6人タッグ戦で出場したのだが、20分くらいで酸欠状態、脱水症状がおきた」という経験からも、「昼間でも寝る時間帯でも、しっかりしたエアコンの調整が大切」と実体験を込めて力説した。

 もう1点のポイントは、熱中症対策としての水分補給だ。蝶野は「冷房のきいた室内から外に出た時、温度差を体感し、汗をかいた時は水分補給が重要。俺は基本的に炭酸水が好きなのだが、普通の水で大丈夫。暑さで体調が悪いと思ったら、5分でも10分でも涼しい日陰で休憩し、こまめに水分補給して、絶対に無理しないことが鉄則」と指摘した。

 食欲不振も夏バテの症状である。蝶野は「食欲が落ちたら、無理に食べるよりも、そうめんなど食べやすいものでいいと思う。ただ、そこで付き合わせとしてタンパク質のあるつまみを食べること。ビールは脱水作用があるので水分補給には適さない。水などを飲むこと」と説明した。

 冷房は自分の適性温度でタイマー不要、こまめな水分補給、そして何よりも無理をしないこと。“黒の夏バテ対策”はシンプルで体に優しいものだった。

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