運転免許証の更新を忘れて失効することを「うっかり失効」という。テレビ時代劇「水戸黄門」の登場人物「うっかり八兵衛」を連想させる名称だが、これは“通称”でなく、公的機関で実際に使われているというのだから驚いた。そのネーミングの背景が気になった記者は、有効期限が「平成35年」と記載されている自身の運転免許証を改めて見返しながら、もう1つの懸案である「改元に伴う、うっかり失効」と合わせて警察庁に聞いた。
更新期間は「有効期間が満了する日の直前の誕生日をはさんだ2カ月間」。期限が過ぎても6カ月以内であれば、視力、運動能力などの適性試験のみで免許証が交付(学科、技能試験は免除)。それを過ぎると、試験の一部免除が適用されず、新たに運転免許試験を受け直す。そこで失効した免許証に押される判子の文言が「うっかり失効」なのである。
SNS上では、画像と共に「可愛い判子を押された」というツイートや、「これが公的に使われている呼称というのが面白い。過不足なく意味も通じるし」「自分を責めさせないポジティブな判子だ」と肯定的にとらえるコメントが多かった。一方、免許失効への「理不尽さ」と共に「ふざけた名称」と怒りをぶつける声もあった。
名称の由来や命名時期について、警察庁広報室は「警察庁として承知していません」と回答。ここからは、あくまで推測だが、多様な意見をぶつけ合い、慎重な検討の末に決めたというより、直感的に“パっ”と出てきたフレーズではないか。だからこその、ストレートなパンチ力が「うっかり失効」という言葉には宿っている。