【しまった!】運転免許の有効期限が11カ月過ぎてた→免許センターで再発行をしてみると 救済してもらえる「やむを得ない理由」とは

吉田 祐貴 吉田 祐貴

仕事、旅行、普段の買い物や家族の送迎まで、さまざまなシーンで利用する自動車。免許は身分証明書にもなるため、「あまり運転しないが免許だけは持っている」という人も多いのではないでしょうか。

ただご存じの通り、免許には有効期限があります。更新年になったら、誕生日の前後2カ月以内に免許センターや警察署などで更新手続きを済ませなければなりません。

しかしこの更新手続きを忘れてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。実は先日、筆者がその状態に陥ってしまいました。コロナ感染が懸念される状況で免許センターに行くのをためらっているうちに、およそ11カ月も更新手続きを忘れてしまっていたのです。コロナの影響が、こんなところにも響くなんて……。

筆者がおこなった有効期限切れに関する手続きを紹介するとともに、免許センターに聞くことができた「再発行を認めてもらえる条件」についてまとめました。

「取り直しになったらどうしよう…」免許センターに急行すると

免許の期限切れを放置していたことに気づいた翌日朝、免許センターへ急行した筆者。もし免許取り直しにでもなれば、いくらかかってしまうのだろうとおびえていました。調べたところ筆者は国内に本籍がある30代なので、必要な書類は『失効した免許証』『住民票』『申請用写真』だけ。加えて外国籍の人や70歳以上の高齢者は、それぞれ在留カードや高齢者講習終了証明書が必要になるそうです。

地域を管轄している免許センターにたどり着くと、やはりというべきか免許更新待ちの人で混み合っていました。筆者の地域の運転免許センターは、有効期限切れに関する受付時間が8時30分から9時までの30分と、13時から13時30分までの30分のみ。1日に2回しかないチャンスに遅れまいと8時40分には到着したのですが、受付窓口前はすでに人の列が3回は折り返しています。

これに並ぶともう9時までに受付できないのでは……と半ば諦めつつ列に加わったところで、場内にアナウンスが。「有効期限切れの方は、お近くの係員にお申し付けください」という案内を聞いた筆者は、天の声を聞いた心地ですぐさま近くの職員さんに事情を説明。すると慣れた様子で、「では列を外れて、まずあちらの窓口に行ってください」と案内されました。

言われるがままたどり着いた窓口には、たしかに『有効期限切れ』の文字が。そこでも3人ほどが前におり、順番に窓口で手続きを進めていました。そわそわしながら待つこと10分。ついに自分の番が回ってきました。

何を話せばいいのかわからず、「免許の有効期限が切れてしまい、11カ月経っちゃってるんです。どうすればいいんでしょうか?」と素直に相談。すると受付のベテランそうな年配のスタッフから、「免許の更新手続きができなかった理由はなんですか?」と質問がありました。そこで「コロナが怖くてためらってるうちに、期限が過ぎてしまいまして…」とお話ししたところ、「わかりました。今回はやむを得ない理由があるということで受付しますね」とのこと。なんとか認めてもらえたようで、別窓口でお金を払うよう促されます。

筆者は大型二種の免許を持っているので、4850円分の収入証紙を購入。ペナルティで特にお金が高くなったり特別な面接を受けずに済んだどころか、「公安委員会が認めたやむを得ない理由」に該当するため通常の「初回・違反者」と同じ金額で更新することができました。大型二種があるため普通自動車より1000円高いですが、普通に有効期限切れ手続きした場合は7400円ほどなので何の文句もありません。収入印紙を買って窓口に渡すと、適性検査を受ける通常の流れに戻されます。

ただ残念だったのは、「ゴールド免許」からランクダウンした「ブルー免許」に変わってしまったこと。講習も2時間に渡る『初心者・違反者講習』でした。期限切れを放置していたので自業自得とはいえ、この数年間は無事故・無違反だっただけに…すこしショックでした。

そもそも『やむを得ない理由』ってなんなの?

免許センターの担当者に詳しくお話を聞かせてもらうと、免許の有効期限が切れてから6カ月未満であれば料金を払うことで免許を再発行してもらえるそう。しかし有効期限から6カ月以上過ぎている場合には、『手続きできなかった理由』によって大きく話が変わるといいます。

たとえば今回筆者が認めてもらえたような『やむを得ない理由』がなく、「うっかり忘れていた」だけだった人は仮免許からやり直しに。改めて路上講習を経て、本試験を受けなければいけません。しかしこの仮免許までは交付してくれるという救済措置を受けられるのも、期限が切れてから1年未満の人まで。うっかりで1年以上免許を更新し忘れてしまえば、仮免許ももらえずにイチからスタートです。

ちなみに『やむを得ない理由』とは何が認められるのか聞いてみると、担当者からは「認められる理由の種類は、法律で決まっているんですよ」という回答が。道路交通法施行令における33条の6の2では『免許証の更新を受けることができなかったやむを得ない理由』として以下のように定められています。

1 海外旅行をしていたこと。
2 災害を受けたこと。
3 病気にかかり、又は負傷したこと。
4 法令の規定により身体の自由を拘束されていたこと。
5 社会の慣習上又は業務の遂行上やむを得ない用務が生じたこと。
6 前各号に掲げるもののほか、公安委員会がやむを得ないと認める事情があったこと。

どれも該当することを証明する書類さえあれば、対応してもらえるそう。たとえば3番は治療・手術が期限日までに終わらなかったと証明できれば、問題が解消してから1カ月以内であれば『やむを得ない理由で期限を過ぎてしまった』と認めてもらえます。

ちなみに今回筆者が認めてもらえたコロナに関する話は、6番目の『公安委員会がやむを得ないと認める事情』にあたるとのこと。コロナの影響で更新期限までに手続きを行えず、運転免許を失効させてしまった場合、「免許の失効から3年以内、かつ新型コロナウイルス感染症の影響により手続きを行うことが困難であると判断される状況が止んでから1カ月以内」であれば、再取得について学科試験・技能試験が免除されるという特例措置が取られています。これはもちろん、全国どこでも同じ条件。

なお、担当者によると、ややこしいのは5番『社会の慣習上又は業務の遂行上やむを得ない用務が生じたこと』に該当するパターンだといいます。

「5番はほとんどが判断に迷うケースで、複数の職員で話し合い、審査するパターンが多いんです。仕事の都合で出張しなければならなくなって……などですね。珍しいところでは期限切れ間近になってお身内に不幸があったという方がいらっしゃいました。慶事と違ってあらかじめ予定を定められるものではないし、近しい方のお別れとなれば参加しないわけにはいきません。ご葬儀に参加された際に使ったという航空機の搭乗に関する書類などをご提出いただき、その人は『やむを得ない理由』であったと認めることになりました」

続いて免許の期限切れ手続きをする人はどのくらいいるのかを聞いたところ、担当者は「2021(令和3)年は1653人、2022(令和4)年は3754人いました。去年と一昨年で大きく人数が違うのは、おそらくコロナに関する制限が緩和されたことも関係しているのではないでしょうか」と話します。

3月13日にはマスク着用も個別の判断に任されるようになりました。おそらく筆者のように「コロナが怖くて行けなかった」という人はほかにもおり、免許有効期限切れ手続きに向かうこともあるでしょう。今回は特殊な事情という形で認められたわけですが、担当者からは改めて釘を刺されました。

「基本的に、期限を過ぎて6カ月が経過すると手続きが複雑・面倒になります。仮免許から取り直すか、1年が過ぎたらゼロからスタートですからね。また免許の有効期限から3年を過ぎると、現行法では救済措置が何もないことも覚えておいてください」

「またやむを得ない理由がある人でも、6カ月が過ぎていれば問題が解消してから1カ月以内に手続きしなければ『うっかり失効』という扱いになります。余計なお金や時間をかけないようにするためにも、なるべく早期に手続きしてもらえればと思います」

車の免許取得費用は、とても安いとはいえません。引っ越しして「お知らせのハガキが来なかった」なんてこともしばしば聞く話なので、ぜひ筆者と同じ失敗をしないように免許の有効期限には気を付けてください。

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