写真から飛び出す猫!23日から川崎で開催「岩合光昭写真展 ねこづくし」で展示

北村 泰介 北村 泰介

 おい、猫が写真から飛び出して来るぞ!?そんな度肝を抜く猫の写真が、川崎市市民ミュージアムで4月23日から6月30日まで開催の「岩合光昭写真展 ねこづくし」で展示される。冒頭で触れた写真は「島の猫」シリーズの1枚。同作にとどまらず、日本を代表する動物写真家がとらえた猫の姿が200点以上も楽しめる。

 この写真の撮影地は、宮城県石巻市の網地島。船舶をロープで係留する波止場の「係船柱」の上に鎮座する猫の雄姿が、あおり気味に撮られている。

 シャッタースピードの妙味を感じさせる空と雲の流れ、そして海を背景に、猫が浮き出して、いや、飛び出してくるような錯覚にとらわれる作品なのだ。背筋を伸ばして(猫背だが…)、その世界に君臨している猫の顔は、カワイイ系ではなく、ちょいとキツめの怖い系。でも、その苦みばしった表情と波止場というシチュエーションが、これまた「ハードボイルドだど((C)内藤陳)」なんだな。

 この作品は、北海道から沖縄まで40点以上を集めた「島の猫」シリーズに含まれる1枚。このほか、印象に残ったのは宮城県田代島で菊の前にたたずむ猫。首に鈴が付いていることから飼い猫か。その姿勢の良さから育ちの良さを感じさせる。こちらは文句なしでカワイイ系である。

 香川県仲多度郡佐柳島で、海辺の岩場にかなりの密度で猫が8匹もたまっている写真も気になった。猫って海好きなのか?それは島の猫に聞いてみないと分からない。まずは作品を目撃してから、いろいろ考えてみよう。

 岡山県備前市や茨城県笠間市など日本各地の陶磁器の産地で撮影された「やきものの里のネコ」シリーズにも注目。約100点が並ぶ。その中でも、山梨県の小渕沢町(現北杜市)で撮影された、桜の枝の間から顔を出す白い猫の表情がたまらなかった。これが、いわゆる「萌える」ってやつなのか。桜の花びらの色と、猫の体毛の色つやとのコントラストもまたよい。

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