動物写真家・岩合光昭氏(68)が、6月30日まで開催中の「岩合光昭写真展 ねこづくし」(川崎市市民ミュージアム)でトークイベントを行い、猫の本性について考察した。その中から印象に残った5点をまとめた。
(1)猫と占有権
冒頭で岩合氏のプロフィール写真がスクリーンに投影された。日なたぼっこする猫の集団の中、同氏はカメラを手に寝そべっている。斜面の道に座っていると、その後から猫が集まってきたという。
「猫は『占有権』を認めるんです。最初からそこにいる者を優先する。僕を嫌がったり、避けたりもせず、一緒に寝そべってくれました」と岩合氏。“猫の憲法”では相手が人間であっても、占有権は平等にあるようだ。
(2)猫とプライバシー
香川県仲多度郡の佐柳島。海に面した防波堤の上で6匹の猫が適度な距離を保ちながら、陽光を浴びてまどろんでいる。絶妙の距離感は何なのだろう。
「猫はプライバシーを大切にする動物。体が触れると“猫パンチ”が飛んで来るので、全部の猫がパンチの当たらない間隔をあけていました」。一緒に群れる時もあるのだが、平穏な時は干渉されない「個」を優先する。
(3)猫と木登り
木登りする猫を茨城県笠間市で撮影した。「猫は木に登ります。でも映画に出る動物プロダクションの猫は最初のうちは木に登れなかった。ずっと家で暮らしているので登れない。魚を食べてくれなかったりもしました」
映画とは、岩合氏が初監督した「ねことじいちゃん」。落語家の立川志の輔が映画初主演し、柴咲コウ、小林薫、田中裕子らが脇を固めた今年2月公開の作品。猫が木に登る訓練や魚を食べる練習を繰り返したという。
(4)猫版「男と女」
宮城県石巻市の網地島で、係船柱の上に鎮座する猫はオスだ。