二次元の推しや理想のタイプに夢中になりすぎて、現実が見えなくなるという経験をした人は少なくないでしょう。漫画家の小出もと貴さんが描く作品『あくまでダチョウの話です』の抜粋エピソード『「大きれば大きい程いい!」というわけでは無い。超正常刺激の話』がX(旧Twitter)に投稿され、注目を集めています。
それはある日の放課後のこと、下校しようとしていた冴えない男子3人組の前に、生物学部の亜加埜(あかの)が突如として立ちはだかります。彼女は「モテたいならその方法を教えてやるから黙って付いて来い!」と言い放ち、戸惑う3人を半ば強引に第三理科室へと連れて行くのでした。
理科室に着くと、亜加埜はいきなり3人組の「荷物検査」を始めます。戸惑う彼らを無視して、強引にバッグの中身を机の上にすべて出すと、そこには胸の大きなアニメの女の子が表紙になった雑誌ばかりが出てきました。
その光景に亜加埜は「やはりな」と確信めいた言葉を口にします。それに対して男子3人は慌てながら「い…いいじゃないですか!アニメくらい」「今時アニメは非モテ要素になりませんて」と力説します。3人の声に対して亜加埜は「アニメ好きなのは問題ではない」と言いつつも、「このような胸のサイズに慣らされるのが良くない」と語りはじめました。
たとえば「ミヤコドリ」という鳥は、自分が温めている卵の近くにさらに大きな偽物の卵を置かれると、本物の卵をそっちのけにして偽物の方を温め始めてしまうのです。ただ「大きい」という要素だけで偽物を選んでしまうこの現象は『超正常刺激』と呼ばれ、魅力が誇張された刺激に生き物は惑わされてしまうのです。
超正常刺激の説明を終えた亜加埜は、続いてこれを男子3人の状況に当てはめます。そして、現実にはあり得ないサイズの巨乳の絵を必死に集めて、現実の女性に無関心な彼らに対して「バカか!お前らは!」と叫びながら勢いで彼らの本を引きちぎるのでした。
亜加埜が繰り広げるあまりの猛攻と偏見に、耐えかねた男子の1人が「いくら先輩でも言い過ぎですよ!結局何が言いたいんですか?」と抗議します。すると亜加埜は少し考えてから「今言ったことを、久慈先生にそれとなく伝えてほしい」というのです。
どうやら亜加埜は、自身の好きな人である久慈先生が、彼らと仲良くアニメの話をしている姿を見て、どうにか自分を見てほしいという説得をしたかったようです。そして、その斜め上すぎる回答に、男子3人は呆然と固まってしまうのでした。
読者からは「残されたのはプレミア本を破かれた可哀想なオタクのみ…」「ここの阿加埜あまりにも理不尽すぎて笑った」など、さまざまな声が挙がっています。そんな同作について、作者の小出もと貴さんに詳しく話を聞きました。
人間も超正常刺激に惑わされる生き物
ー制作にあたって物語を考えてから事例を探しているのでしょうか?それとも、面白い習性を元に物語を作っているのでしょうか?
どちらのパターンもあります。物語に必要な生物学ネタを探す時もあれば、「この生物学ネタ面白いから漫画にしたい!」と物語をつくる時もあります。後者のパターンは物語の流れ的にすぐには使えなかったりするので、一旦ストックしておいて自然な形で使えそうなタイミングで物語に捩じ込むことが多いです。同作の「超正常刺激」もそんな感じで捩じ込みました(笑)
ー強気だった亜加埜が男子たちの意見をすんなり受け入れたのはどうしてだったのでしょうか?
阿加埜は自身の恋愛成就以外はどうでもいいと思っているキャラクターなので、それ以外のことに対する体裁を考えたりしません。今回は3人のアドバイスが的確だったため素直に同意し、その段階で頭の中は好きな男のことでいっぱいになってるため、これまでどんな流れで話をしていたのかも忘れてるんだと思います。ヤバイ女です。
ー小出さんは日常で、「これはまさに『超正常刺激』だな」と感じる瞬間はありますか?
この話とも重なるのですが、日常の人間社会のなかで超正常刺激を感じるのはやはり【漫画】かなと。漫画は物凄く写実的に描かれた絵が支持されるかというとそういうことはなく、むしろ現実には有り得ないような等身、筋肉、目の大きさ等が人気を集めたりしますので、人間もミヤコドリ同様に超正常刺激を感じる生物なんだと思います。
<小出もと貴さん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/koidemotoki
▽電子書籍版『あくまでクジャクの話です。(1)』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CZKSYB98/