自分の見た目が原因で振られる経験をした人は少なくないでしょう。自分なりに誠実に向き合っていても、理不尽な理由で振られてしまうと自信を失ってしまうものです。そんな恋愛弱者の葛藤をコミカルかつ生物学という鋭い視点で描く、小出もと貴さんの作品『男として見ることができないと振られた男教師と生物学女子』が注目を集めています。
物語は、高校教師の久慈(くじ)が彼女の浮気現場を目撃し、失恋してしまう場面から始まります。しかも浮気の理由は「男らしくないから」というものでした。大きなショックを受けた久慈は同僚に相談しますが、「確かに女子力が高い」「いつもクリームを塗っている」「脇毛もすね毛も生えてない」など、追い打ちをかける言葉を浴びせられてしまいます。さらにその話は生徒たちの耳にも入り、教室中に広まってしまうのでした。
失恋を話題にされながらも生徒たちに慰められる久慈。そんな中、男子生徒3人から「恋愛弱者男子を救う会」を立ち上げたいので顧問になってほしいと頼まれます。彼らは、高身長や筋肉質、整った顔立ちばかりが“モテる男性像”として扱われることに疑問を抱いていました。その風潮を壊したいと立ち上がり、モテる男たちの撲滅を掲げます。久慈は先生としてその行為を止めながらも、自身も振られたばかりの身として、完全には否定しきれません。
そこへ現れたのが、生物学に詳しい女子生徒・亜加埜(あかの)です。彼女は「なぜ男らしくない男が女からモテないのか、それはメディアのせいではない。生物学で説明がつく話なのだ」と語り始めます。例えば孔雀は、オスだけが長く美しい尾羽を持っています。これは、突然変異で魅力的な尾羽を持ったオスがメスに選ばれ、その子孫が繁栄してきた結果です。つまり、生物の世界では“異性に選ばれる特徴”を持つ個体が生き残ってきたというのです。
しかし一方で、筋トレや努力など、自分自身を磨くことで魅力を高めることもできると、生徒たちへ前向きなメッセージを送ります。男子生徒たちの問題を解決したことで、亜加埜は久慈に生物学部の顧問を頼みますが、その強すぎる圧に耐えきれず断り、逃げるようにしてその場を後にしました。
この出来事から、久慈自身も亜加埜から少しずつ影響を受け始めます。そして自分も変わろうかと考え始めた矢先、久慈は偶然元カノと再会します。動揺してしまいしどろもどろになっている久慈に、亜加埜が久慈の“新しい彼女”を装って現れるのでした。この出来事により、久慈と亜加埜の恋愛事情は思わぬ方向へ進んでいくのです。
同作について、作者の小出もと貴さんに詳しく話を聞きました。
クジャクの「性淘汰」から紐解く、人間と生物の共通点
ー「クジャク」の生態をテーマに選んだきっかけはなんだったのでしょうか?
初めて生物学の本を読んだ時に、1番インパクトがあったのがクジャクに代表される性淘汰だったので、第1話目の題材としました。メスの選り好みがオスの形質を変えていく。しかもそれが生存にまったく役に立たない、という非合理性が衝撃的すぎて、この面白さをそのまま伝えたくて漫画にしました。
ー「モテているように見せる戦略」など、心理戦の要素もすごく面白かったです。恋愛中の人間と動物は似ているのでしょうか?
人は複雑な社会の中で生きているので単純に比べることは難しいですが、「モテるオスがモテる」など、生物の「恋愛」には妙な説得力を感じる場面がいくつもあります。遺伝子を繋いでいく中で培われてきた美意識みたいなものは人にも生物にも共通してあるのかもしれません。
ー美しい阿加埜を描く上で「ここは絶対に外せない!」というこだわりや、可愛く見せるための秘訣はありますか?
ありがとうございます(笑)ぼくはどちらかと言うと絵は不得手なので、「阿加埜かわいい」という感想を多く頂いたときには驚きました。連載開始当初に担当編集さんから「どのコマの阿加埜も可愛く描きましょう!」と言われたことがとても印象的で、以来どんなに小さなコマであろうと可愛く見えるまでは何度も描き直すことにしています。
<小出もと貴さん関連情報>
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