雪道走行で賛否両論のオールシーズンタイヤ 「あてにならない」「やるじゃん!」→実際は?JAFに聞いた

東寺 月子 東寺 月子

2月はまさに三寒四温。春のような陽気かと思えば、気を抜いていると突然の雪に遭遇することも。そんな突然の雪の備えとしても使えると話題のオールシーズンタイヤですが、実は利用者の意見は賛否両論。

一体、なぜ意見が分かれるのか?実際に雪道で使うとどうなるのか?オールシーズンタイヤの正しい理解と、利用のポイントなどを、JAF兵庫の担当者に伺いました。

冬に備えるなら「スノーフレークマーク」付きを選ぶべし

ーーオールシーズンタイヤのメリットとデメリットはなんですか?

「オールシーズンタイヤは春夏の路面から、冬の軽微な雪道まで1年を通して使用できるとされていて、季節のタイヤ交換が不要なのが最大のメリットでしょう。スタッドレスタイヤだと、春夏には履き替えないといけないうえ、タイヤの保管場所の確保も必要ですから、それに比べればコストも安くすみます。

でも実はデメリットも。本格的な降雪地方ではスタッドレスタイヤより性能は落ちます。凍結路面の場合は、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)と同等と思ったほうがいいです。ドライ路面では夏用タイヤよりグリップや静粛性(音や振動による不快感を抑える性能)も落ちます」

ーーそうなると、特に冬の季節は「万能」とまでは言えないのですね?

「一般的にはそうなりますが、実はオールシーズンタイヤというくくりの中でも、いくつか種類があります。その種類によって性能も変わるので注意が必要です。種類はタイヤの側面の表示を確認すると分かります。ちなみに、MとSのアルファベットが表記されているのですが、これはMUD=泥、SNOW=雪を意味しています。

①アルファベット(M+S)のみ=メーカー独自の判断
→高速道路の冬用タイヤ規制では通行不可
②アルファベット(M+S)&山岳マーク(スノーフレークマーク)公的な試験を受け性能を確認されたもの
→高速道路の冬用タイヤ規制でも通行可

そのため、冬場の雪を想定するなら②のスノーフレークマークが記載されているものは、ASTM規格(工業材料や試験方法に関する国際規格)をパスしていて、公的な試験で性能を確認されたものということですから、こちらの方が冬の路面への対応力が高いと言えるでしょう」

オールシーズンタイヤはオールマイティではないと心得て

ーーなるほど。SNSへの投稿でも「凍結路で滑った」というコメントから「雪も大丈夫」という人まで、みなさん意見が分かれていますが、実際のところはどうなんですか?

「お住いの地域、雪の状況で変わると思います。あまり降雪がない地域に住んでいたりスキーなどに行かない方が、万が一に備え履き替え不要のオールシーズンタイヤにされるのは冬の対策として有効だと思います。でも降雪量が多いときや凍結路では滑りますし、冬用タイヤとして合格点ですが、満点ではないことを理解した上で使用してください。

性能が落ちたオールシーズンタイヤを使用するのも危険ですから、ちゃんと確認してください。耐久年数は走り方や保管状況で変わりますが約3~5年、3~5万キロと夏用タイヤとほぼ同じです。スリップサインが出ている、亀裂、ひび割れ、 変摩耗などあれば、年数や走行キロに関係なく交換が必要。 タイヤはゴム製品なので、 古くなると固くなり乗り心地も悪くなります」

冬は万が一に備えチェーンを用意しておこう

ーーでは、雪の積もった道や凍結路ではオールシーズンタイヤは危険ですね

「オールシーズンタイヤのみだと、やはり心許ないですね。数年前になりますが、JAFではタイヤ別に雪道の走行テストを行った動画をYouTubeへ投稿しております。タイヤ別に雪道での走行にどんな差が出てくるか、実際に目で見ていただくと、備えることの大切さがわかっていただけるかと」

ーー万が一、雪にタイヤがはまり動けなくなった場合は、どうしたらいいですか?

「スタックの状況にもよりますが、平坦な道の場合は進行方向のタイヤの前の雪を人力でかき出し(4輪とも)、ふんわりアクセルを踏みゆっくり進んでください。慌ててアクセルを踏み続けタイヤが空転してしまうと、雪を削ってしまうことで進行方向に段差が生じ、よけいに脱出できなくなります。自力での脱出が難しいという場合は、無理せずJAFにご相談ください」

ーーそうなると、スタッドレスタイヤのほうが安全ですか?

「いえいえ、スタッドレスタイヤも凍結路では滑りますし、万能ではありませんから過信は危険です。雪の予報が出ていたり、雪の多い地域に行く場合は備えを持って出かけるのがおすすめです」

ーーどんな備えが必要ですか?

「タイヤチェーンは、ぜひ備えておいていただきたいものです!チェーンをはじめ、取り付けの時に便利なものなど、雪に備えて冬の車に常備しておきたいものは、以下のものが考えられます。

①タイヤチェーン(必要)
②軍手(チェーン取り付け、スタック脱出用に必要)
③軍手の上から使える大きめの台所用ゴム手袋(取り付け、 スタック脱出用にあると便利)
④膝をカバーするニーパッド(取り付け、スタック脱出用にあると便利)
⑤汚れてもよいレインコート(ズボンのみでもOK、取り付け、スタック脱出用にあると便利)
⑥厚さ1センチ程のクッションマット(取り付け用にあると便利)
⑦長靴(取り付け、スタック脱出用に必要)
⑧雪かき用のシャベル(スタック脱出用に必要)
⑨脱出用ラダー(取り付け、スタック脱出用にあると便利)
⑩スノーブラシ、解氷スプレー(視界確保用に必要)

雪道での渋滞や立ち往生対策としては、毛布などの防寒対策、簡易トイレ、飲料、食料などがあるとより安心です。でも状況に応じて、雪などが予想される場合は車を使用しないという選択肢もあります」

ーータイヤチェーンは取り付けが面倒というイメージがあります

「金属チェーン(亀甲型)がおすすめですが、非金属チェーン(ウレタン系)もあるので、状況に応じて選んでください。 いずれにせよ取り付けには慣れが必要です。タイヤサイズを確認し購入したら、説明書を見ながら事前に取り付けてみることが大事です。

実際に雪がある状況で取り付ける場合は、安全確保が大事です(地方によってはチェーン取り付け場というスペースもあります)。路上で取り付けをするときは、取り付けに集中してしまうと周りが見えず、他の車などが接近し、事故に遭う可能性もあります。作業する前に周囲の状況を確認してください」

オールシーズンタイヤという名前に、つい過信しがちですが、やはり雪や凍結の状況に応じて、さらなる対策は必要だということがよく分かりました。しかも、スタッドレスも万能ではないので、やはりチェーンの携帯は大事!

まだまだ雪の可能性があるだけに、車の運転はくれぐれも注意してください。

【JAF兵庫】
https://jaf.or.jp/common/local/kansai/hyogo

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