「命を繋いでくれたあの子に元気にしているよと伝えたい」
保護シェルターにいた黒猫のしゅばちゃんを家族として迎えたのは、X―旧Twitter―ユーザーのしゅばさん(@kuronekoshuba)。出会ったとき、しゅばちゃんは推定1歳でした。
飼い主さんは以前から『猫と暮らしたい』と考えていたそうです。
「仕事で日中、家を不在にするため小さな子猫を迎えることは難しいと考え、成猫とのご縁を探すことにしました。それから里親募集サイトを見る日々がスタート。しばらく経ったある日、しゅばに目が留まったのです」
しゅばちゃんの写真を見た瞬間、『この子だ!!』と直感した飼い主さん。家族も賛同し、猫とのお見合いをすることができました。
シェルターを訪れると、しゅばは奥にある一番大きなケージにひとりで入っていました。シェルターに来る前、ペット不可の集合住宅で、小学生くらいの子どもからごはんをもらっていたそうです。大家さんからシェルターに保護依頼が来て、シェルターにやって来たと聞きました。
ほかの猫と折り合いが悪く『譲渡する場合は、単頭飼いをお願いします』とのこと。しゅばとのお見合いは、1時間半ほどで終わりました。
「写真で見るよりも大きく、とてもかわいくて。思わず家族と手を取り合ってぴょんぴょんと跳ねながら『かわいかったねー! 大きかったねー!』と興奮気味に話したのを覚えています」
それから3日後、シェルターから『しゅばちゃんをよろしくお願いします』との連絡が。2015年11月15日、しゅばちゃんをお迎えすることになりました。
「当日、しゅばくんを連れて来てくださったシェルターの代表者から『あの日、手を取り合ってぴょんぴょん跳ねていましたよね。あの姿を見て、このご家族に決めようと思ったのです』と言われました。しっかりと見られていたことがわかり、少し恥ずかしかったですが……。しゅばを迎えられることがとても嬉しかったです」
家での暮らしと健康への取り組み
家にやって来た当初、しゅばちゃんは机の下に隠れたそうです。
「初日こそ隠れてしまいましたが、一夜明けるとカーペットの上でくつろいでくれるようになりました」
さらに、ごはんを与えると一心不乱に完食。その様子を目にした飼い主さんは、「野良猫時代、食べられるときに食べてておかなければ生きていけない状態だったからではないか」と想像し、胸が痛んだそうです。
2017年に隣家の解体工事が始まると、それにともなって大きな工事音がなり響くように。すると、しゅばちゃんにストレス症状が見られるようになったのです。
「特発性膀胱炎にかかっていることがわかりました。病院で注射と服薬による治療を受けるとすぐに治るものの、再び、膀胱炎に。何度か繰り返しました。そのときに療法食の導入など、健康を維持するための対策を開始。病院の先生から『猫ちゃんもストレス社会と戦っているのです』と伺い、とても納得したのを覚えています」
現在は膀胱炎の症状も見られず、穏やかな日々を送っているそうです。
家族の変化としゅばちゃんの個性
しゅばちゃんを迎えたことで、家族の会話が増えたといいます。
「家族とは、しゅばを通してさらに会話が増えました。おもちゃやおやつをそれぞれ買ってきたり、『今日は自分の部屋でお昼寝してた』『出窓から見送ってくれた』などと、自慢大会になることもあります」
また、家族みなで守っているルールがあるのだとか。
「しゅがの健康を維持するため、おやつをこっそりと与えないというルールを設けています。我が家は、しゅばちゃんを中心とした生活が形成されるようになりました」
また、しゅばちゃんは臆病なところもありますが、とても優しい子。そして、マイルールがあるそうです。
「ブラッシングをしてくれるのはこの人、猫じゃらしで遊んでくれるのはこの人など、しゅばならではのルールがあるよう様子。そうして家族全員を喜ばせてくれる優しい子です」
今、飼い主さんが思うこと
しゅばちゃんは、今年推定10歳になりました。
飼い主さんは、しゅばちゃんの命を繋いでくれた人々への感謝を忘れません。
「しゅばを助けてくれた小学生のことを思うことがあります。あの子が『黒い猫ちゃんどうしてるかな』と思い出すことがあるのではないかと。『あなたが命を繋いでくれた黒猫は、たくましく成長し我が家で元気にしています! ありがとう」と伝えたいです。
家族の気持ちがひとつになるきっかけとなったしゅばちゃん。ともに過ごす日々を通して、飼い主さん家族との信頼関係はより一層、深まっていくことでしょう」