かけられて嬉しかった言葉は…思い当たらない
ササミさんの一連の投稿に対して、「知ってよかった!心から。大丈夫?って結構心ない声かけだと再認識できました」と、安易な声がけの残酷さを省みるコメントも多く見受けられた。
また、「具合はいかがですか? お怪我はありませんか? 大変でしたね、などと聞くようにしている」「何かあったらいつでも声かけてと言っている」といった意見に加えて、「かけられて嬉しかった言葉があったら教えて」と、ササミさんに問いかける人もいた。
これに対して、「正直、思い当たりませんでした」「『力になれることがあれば言ってね』が最上位ですが、嬉しい言葉というより心がざわつかない言葉という感じです」と、返信していたササミさん。
「ただ、震災のことに触れてほしくないというのは私の場合であって、『心配したよと寄り添ってもらえて救われた』『何も言われないのはちょっと…』という意見も散見されたので、被害状況や個人の性格、相手との関係性、震災からの年月など、本当にいろんな要因が絡んでいると思います」(ササミさん)
『お互い様の気持ち』『相手への配慮』『楽しい会話』のバランス
「相手を配慮した言葉はとても大事ですが、100%人を傷つけないのは無理だと思うんです。例えばよく使う『ちょっとトイレ行ってくるね~』というセリフも、世の中には『ちょっとトイレに行くこと』が難しい人もいますよね。身体的なハンディキャップがあったり、利用できるトイレが限られる性的マイノリティの方もいる。だいぶ状況は異なりますが、私自身も子供を連れていると気軽にトイレに行けません。そんな時に夫が、『ちょっとトイレ行ってくる!』なんて言うと、『自分は1人で気軽にトイレに行けていいよね!』と、少しイラッとしてしまいます…。
『お父さんへ誕生日プレゼント悩んでてさ~』という話をお父さんを亡くした方が聞いたらどう思うか?『予定外の妊娠で~』という話を不妊治療中の方が聞いたらどう思うか? 考え出したらキリがないかもしれません。私だってきっと今までに多くの方を傷つけたし、これからもたくさんの人を傷つけてしまうと思います。『傷つけてしまうのはお互い様』であり、『そんな中でも相手への配慮を持って』『楽しい会話を』の3点のバランスを保ちながら過ごすのが大事だと感じています」(ササミさん)
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「かける言葉が見当たらない」なら、そっとしておいて
「災害でなくても、『大丈夫ですか?』と聞かれれば反射的に、『大丈夫です』と答えてしまうのが大半だと思う」というコメントも寄せられていたが、回答が限定されるような質問は、返答する側の心に大きな負担をかけることを忘れてはならない。
心配する気持ちを相手に押し付けてはいないか? 今はそっとして置くべきではないか? 声をかける前にそう省みる心の余裕を持ちたいものだ。
※令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。一日も早い復旧復興と、被災された皆さまに平穏な日々が戻りますことをお祈り申し上げます。