「離檀料に相場はない」国内最大の伝統仏教教団が見解 国民生活センターには「700万円かかると言われた」相談も

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 寺の檀家をやめる際に、寺が請求するとされる「離檀料」について、曹洞宗はこのほど、「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはありません」とする見解を示しました。曹洞宗宗務庁(東京都港区)に見解発表の背景を聞くとともに、国民生活センターに対処法を取材しました。

 曹洞宗は永平寺(福井県永平寺町)と総持寺(横浜市鶴見区)を大本山とする禅宗の一派です。2022年度の宗教統計調査によると、1万4560カ所の寺院などを有する国内最大の伝統仏教教団です。

 曹洞宗が発表した見解「離檀料・墓じまいに関する報道について」では、「昨今、テレビ、雑誌等にて、離檀料・墓じまいという言葉を用いた報道がなされています。特に、『離檀料は一般的に〇〇万円』というように、あたかも離檀料に相場があるかのような報道(中略)があり、誤った認識が広がることを懸念しております」としています。

 さらに「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはありません」「特段の理由により離檀される場合において、檀信徒から、離檀料を頂くようになどという指導も行っておりません」と記述。また「菩提(ぼだい)寺との関係について疑問や要望をお持ちの場合は、出来る限り早い段階で、菩提寺にご相談されることをお勧めします」と檀信徒へのアドバイスも掲載しています。

 しかし曹洞宗はなぜこのような見解を発表したのでしょうか。曹洞宗広報係は「テレビ番組で離檀料があるかのような報道がなされたことが大きい」と説明します。番組をきっかけに市民や、他宗派の僧侶からも宗務庁への問い合わせが相次いだことが背景にあるそうです。

 離檀料をめぐっては改葬や墓じまいの際に寺が請求することが多いといいます。国民生活センターの消費生活相談データベースによると、全国の消費生活センターなどへの墓・葬儀サービスに関する相談は近年、増加傾向です。2020年度は948件、21年度は969件でしたが、2022年度には1143件となっています。

 国民生活センターのホームページには過去の相談内容が掲載されています。「墓じまいを寺に申し出たところ、300万円ほどの高額な離檀料を要求された」(80代女性)という事例のほか、「お寺に離檀したいと相談したところ、過去帳に8人の名前が載っているので、700万円かかると言われた」(70代女性)というケースもあったそうです。

 国民生活センターは「納得がいかないことがある場合はお寺と話し合いをしてほしい。わからない点や不安なことがあれば消費者ホットライン188に電話を」と呼びかけています。

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