台湾有事の次は沖縄!? 「中国と琉球の関係深い」習近平氏の発言からうかがえる“悪魔のシナリオ”

治安 太郎 治安 太郎

最近、米中関係では中国の姿勢がより強硬となる一方、米国が焦っている感が否めない。今月はじめにシンガポールで開催されたアジア安全保障会議での際、米国のオースティン国防長官が中国の李尚福国務委員兼国防相との直接会談を要請したが、中国はそれを拒否した。また、同会議直前の5月26日には、南シナ海上空で中国の戦闘機が米軍の偵察機に急接近し、6月4日には台湾海峡で中国の軍艦が米海軍のミサイル駆逐艦に140mのところまで異常接近するなど中国の挑発がエスカレートしている。これについて、米国は中国軍の攻撃性が増大していると強い懸念を示した。

そのような中、今後近いうちに米国のブリンケン国務長官が中国を訪問して、習国家主席らと会談する計画が浮上している。今回の訪中の背景には、高まる米中対立の中、偶発的な衝突によって一気に軍事的緊張が高まるのを抑えたいという米国側の懸念がある。中国側からの要請ではないとみられ、この時点でも米中間では中国優勢で物事が動いている感が否めない。一方、ブリンケン国務長官は最近中東のサウジアラビアを訪問した。中国はサウジアラビアとイランの和解を主導するなど、中東諸国との間で経済的な結び付きを強化していることが、中東における米国の存在力が低下する中、中国が中東で覇権を握ることを警戒している。今回のサウジ訪問の背景にもそれがあるが、米国の中国への焦りというものは中東情勢からも感じられる。

こういった中国有利な情勢が続いていけば、台湾有事もより現実味を帯びてくる。既に、一部の台湾人は台湾の将来を懸念し、自由や民主主義を求め欧米などへ移動し、永住権を取ろうとする動きも広がっている。台湾有事となれば、世界の半導体産業は壊滅的な影響を受けるだけでなく、日本の経済シーレーンの安定が脅かされ、日中関係の悪化によって在中邦人の安全にも影響が出てくることから、既に台湾有事への懸念は日本でも広がっている。

だが、中国の軍事戦略や習近平氏の描くビジョンなどを深く観ていくと、どうもその野心は台湾に留まりそうにない。中国共産党機関紙・人民日報は6月4日、習国家主席が資料館を訪れ魚釣島(尖閣諸島)について説明を受けた際、「昔福建省で勤務していた時、中国と琉球の関係・根源が深いことを知った」と言及したと報じた。人民日報は以前にも沖縄の帰属は未解決で、中国に領有権があるとの論文を紹介したことがある。また、中国の軍事戦略上、中国は九州から南西諸島、台湾を通る第一列島線の内側の海は全部中国軍の支配下に置き、伊豆半島から小笠原諸島、グアムに至る第二列島線の外(東側)まで米軍を追い出すというビジョンを描いている。

よって、それに従えば、中国にとって第一列島線を確保するにあたり、台湾だけでなく沖縄も極めて重要となる。台湾有事となり、仮に中国が台湾をコントロールすることになっても、野望はそれで終わりではない。習氏が目指す台湾統一は終点ではなく、単なる通過点に過ぎない。台湾有事後には、今後は尖閣諸島を中心に沖縄を巡る戦い、攻防がエスカレートする恐れがある。

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