京都大学の「風物詩」とされる卒業式でのコスプレを巡り、思わぬ騒動が勃発した。3月末にあった今年の式。卒業生たちが仮装道具をそばに置いて屋外で談笑をしていると、大学の職員5、6人がビデオカメラで撮影しながら接近。「おい!これは誰のや」と怒鳴り、仮装道具を壊して撤去していったという。大学側は取材に対して、「周囲にいた者に誰のものか確認し自主撤去するよう注意しましたが、所有者が現れなかったため、大学で撤去し保管した」としている。
京都大学の卒業式は、卒業生が思い思いのコスプレ姿で会場に集まることで知られる。大学側は式典にもそのまま参加させており、「自由な校風」との呼び声が高い。今年の式典は3月24日、京都市内の「みやこめっせ」で実施。約50人が仮装しており、ウクライナのゼレンスキー大統領のほか、人気漫画「チェンソーマン」、回転すしスシローで不祥事を起こした少年を風刺したコスプレなど、さまざまなものがあった。
撮影しながら「名前を言え」
在校生によると、撤去騒動が起きたのは、午前8時10分ごろ。敷地内の人が通らない隅の方で、コスプレをした卒業生や見送る在校生ら10人ほどで記念撮影をし、談笑していた。
すると、建物内から大学職員5、6人がビデオカメラで撮影しながら近づいてきた。「おい!これは誰のや」。そう怒鳴った後、「誰も名乗り出ないなら持って行くぞ」と仮装道具を壊し始めた。「名乗り出なかったとしても、撤去するのはおかしくないですか?」と職員に訴える人もいたが、黙々と撤去していったという。
一方で、撤去間際に「それだけ私のものです。すみませんが返してください」と願い出る人も。職員は返却した後に「お前、名前なんや。名前を言え」と言い、名前を言えずに黙っていると、職員に「こいつの顔を撮影しろ」とビデオカメラを回すよう指示していたという。
大学側の回答
京都大学広報課に28日、騒動について把握しているかや、コスプレへの見解など以下の4点について聞いた。
①大学の職員が一部学生のコスプレを撤去したとSNSで指摘されていますが、認識していますか。
②撤去の根拠を教えてください。また、法的な裏付けはありますか。
③撤去を始めたのは今年からですか。
④卒業式のコスプレに対して「学生の遊び心を大人が壊すなんて」という声もあります。どのようにお考えですか。
翌日、広報課の担当者からメールで返ってきた回答には、こう書かれていた。
【回答】卒業式会場周辺は例年大変混雑します。このたび、会場敷地内に無断で机や工作物などが設置されていたため、周囲にいた者に誰のものか確認し自主撤去するよう注意しましたが、所有者が現れなかったため、大学で撤去し保管したものです。