「助けてください」というメッセージと共に、13歳になる柴犬の女の子、エルちゃんの飼い主さん(@shibainu_eru)がTwitterに投稿したツイートに大きな注目が集まりました。
「血液検査したところ異常あり。赤芽球ろうという赤血球を造れなくなる難病でした」
「輸血できるわんちゃんを探してます。少しでもたくさんの人に知ってもらえたら嬉しいです。供血犬少ないのが現状です」
「供血犬」とは?
エルちゃんが患う「赤芽球癆」(せきがきゅうろう)は赤血球がうまく造れない難病です。根治治療が確立されておらず、現在エルちゃんは、ステロイドで免疫を抑制しつつ、鉄分を補給する薬と「輸血」で延命している状態です。その「輸血」の際に必要な血液を献血してくれるのが、「供血犬」(きょうけつけん)と呼ばれるワンちゃんです。
犬の血液型は13種類以上あり、輸血の際は血液型の一致が必須です。しかし日本では動物の「血液バンク」が確立されておらず、「供血犬」の存在が欠かせません。動物病院によっては専属の供血犬が飼われていたり、スタッフの愛犬や病院に通うワンちゃんがドナーとなるケースもあります。猫のための「供血猫」も存在します。
エルちゃんはこれまで2度の輸血を行っていますが、献血をしてくれたワンちゃんたちには回復期が必要なため、急遽、「供血犬」を募るツイートを投稿。現在、エルちゃんはまだドナー候補のワンちゃんと出会えていません。命を繋ぐために「輸血」が必要なエルちゃんの現状について、飼い主さんに詳しくお話を伺いました。
診断結果は「いつ死んでもおかしくない」
ーー「赤芽球癆」の症状に気づいたタイミングは?
「エルは2歳の時にペットショップ経由で迎えた保護犬で、柴犬に多い皮膚トラブルがあったぐらいで、ずっと健康でした。ところが昨年の11月末の夜散歩の後、いつもならリードを外すとスタスタ歩いてミルクを飲みに行くのに、玄関で下を向いて固まっていて、声をかけても動かず、抱っこで部屋に連れて行った後もボーッとしていて、疲れているようでした。しばらく様子を見たのですがやはり元気がなく、12月に入って病院に連れて行ったところ、血液の数値が良くなく、いつ死んでもおかしくないと言われ、そのまま入院して翌日に輸血をしました。最初はお医者さんも病名がわからず、何度か検査した後に『赤芽球癆』と判明しました」
ーー現在、輸血以外にどんな治療や対処を?
「鉄分の薬とステロイド剤で進行を遅らせている状態です。お医者さんからも、特に治療法はなく、食事でも改善できない、命を繋ぐには輸血しかないと聞いています。『赤芽球癆』は人間でも年間100人ほどが発症する病気みたいですね…」
ドナー犬たちのおかげで増えた「大切な時間」
ーーエルちゃんのかかりつけ病院、山形県天童市にある「天童動物病院」さんから伝えられたドナー犬の条件のひとつが、「体重が20キロ以上のワンちゃん」なのだそうですね。
「はい。エルの血液型は適合が少ない種類で、マイナス型の犬の血液がマッチしているそうです。病院が嫌いなワンちゃん、多いですよね。エルもいつも震えています…。そんな中でも献血に協力してくれる大きなワンちゃんたちは本当に貴重な存在ですし、飼い主さんたちの優しさもありがたいです。これまで2回の輸血に協力してくれたワンちゃんと飼い主さんには、我が家の大切な家族を救ってくれてありがとうございます、という感謝の気持ちでいっぱいです。
根治が難しい病気ですし、いつかはお別れが来るだろうけど……その時まで楽しく幸せに過ごせる時間が少しでも増えるように、エルのドナーはまだ探している最中です。エルの他にも、世の中には困っているワンちゃんと飼い主さんたちがたくさんいます。少しでも多くの命が救われたらなと思います」
※次のページでは、エルちゃんの「ドナー」になるための条件を紹介します。