愚痴仲間だったおじさん 年下の課長から会議室で1時間以上も詰められていたけど…「うちの職場にも雰囲気良くする人がいる」

竹内 章 竹内 章

低成長以降、不況のたびごとに俎上に上がる中高年社員の処遇とマネジメント。2021年4月1日からは70歳までの雇用確保が企業の努力義務になり、「「働かないおじさん問題」のトリセツ」という書籍も話題になりました。「仕事はあまりできないおじさん」を懐かしむTwitterユーザーの品質さん(@chokyori_tsukin)さんの投稿が話題です。読後、皆さんはどう思うでしょうか。

「仕事はあまりできないおじさん。いつも年下の課長から、会議室で1時間以上も詰められていた。」で始まるツイート。「けど、このおじさんは毎回家族で旅行行っただとか、定年は奥さんと何やりたいだとか聞かせてくれて、自分が辛い時も声をかけて支えてくれた。」と思いを寄せます。そして締めくくりは「だから自分は決して仕事できるできないで人を判断したくない。」。このツイートに同意、納得、反発、不服などさまざまな声が上がっています。

「仕事自体いまいちでも、知らず知らず職場の心の健全を保つの役立ってる人はいる気がする」「うちの職場にも仕事ができる訳ではないけどいるだけで雰囲気良くなる人がいてすごく助かってる」というコメントも。このおじさん、ムードメーカー的な人だったのでしょうか。投稿者に聞きました。

マイクロマネジメント好きの上司

現在は外資系自動車部品メーカーに勤務する品質さんさんは、日系ティア1→JTC(他業界)→外資系ティア1と渡り歩きました。ティア1とは一次請けという意味があり、自動車業界では完成車メーカーに直接部品を供給するメーカーのことを指します。 JTCは「Japanese Traditional Company」の略です。

ーツイートのエピソードは

「JTCでの経験です。東京証券取引所公表のプライム市場に属する、100年以上続く歴史のある企業でした。年功序列で若い人のモチベーションは低く、そもそも若い人も少ないからか職場は活気があるというより、落ち着いた感じでした」

ーどんな上司でしたか

「高学歴で勉強はでき頭の冴える上司でしたが、主観的に申し上げると、研究のように一点集中しすぎて仕事が進まない人のような気がします」

ーおじさんと品質さんさんとは

「進捗が見えにくいだけで、やる仕事はちゃんとこなしていたように見えました。ただ上司がかなり細かく、マイクロマネジメント(上司が部下の行動を逐一チェックし、細かく指示を出すマネジメントスタイル)が好きだったので、愚痴をこぼしながら仕事をしていたのが印象深いです」

品質さんさんがそのJTCを退職後、おじさんは精神的に参ってしまい、品質保証から製造部門へ異動したそうです。退職後にLINEが届き「参っちゃったよ〜若いって羨ましいなあ」と愚痴られた時は、「知らんわ!」と内心思いつつも、「寂しいんだろうな」と感じたそうです。「一昔前にいた精神論で家庭より仕事、会社に強い帰属意識を持つような方ではなく、今どきの若者のようなマイペースなお人柄だったと思います。私もそうだったからこそ、気軽に話せる存在でした」と品質さんさんは振り返りました。

数値化できない要素も

ー「自分は決して仕事できるできないで人を判断したくない」とツイートしていました

「仕事の指標を数値のみで判断すること自体に否定的な意見を持っています。私が今勤務する外資系企業ですと、関係者との協力やチームで進めていく力といった定性的な観点での評価軸も存在します。上司からの一方的な評価ではなく、上司と話し合い互いに合意した上で評価が確定しますし、360度評価のような他部門から見た人物像も重要視されます」

ー従業員間のハブや潤滑油など数字には表れにくい面にも目を向けるべき、と

「潤滑油やムードメーカーも大切な存在ですが、それらのパフォーマンスが企業としての利益になるのであれば、目を向けるべきだと思います。雑談が多かったり、人柄は良いけど仕事をしない人間は評価されるべきではないと思います。繰り返しになりますが、人間のパフォーマンスは数値化しきれないので、定性的な評価軸も必要です。数値で表されるパフォーマンスでも、潤滑油のような定性的なパフォーマンスでも評価に値しますが、それが組織としての方針や利益性に繋がるのかが重要だと考えます」

「例えば、バリバリ商売を取ってくる営業がいても、チームがまとまらないと意味がありません。そこにチームビルディングが上手いプロジェクトマネージャー(PM)がいることで、製品ができあがったなんてケースを想像してみると、数値で見える営業も、全体をまとめるPMも評価されるべきではないでしょうか」

ーご自身の仕事観を

「評価は定量的・定性的がポイントではなく『組織として必要なのか』がポイントだと思っています。それを達成するには『組織(周りから)頼られる』ような、自分の仕事範囲+αをこなせる人材になりたいと思っています」

品質さんさんはTwitterやnoteでこれまでの就労経験などを踏まえた情報発信しています。
■アカウントはこちら→https://twitter.com/chokyori_tsukin
■【外資系買収】勤めてた会社が破綻した、【職務経歴書公開】20代で2回も転職をした背景・そこでの葛藤と得た学び などの記事を掲載したnoteはこちら→https://note.com/shawngee_

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