「まさか保護した子からお礼が届くなんて!可愛すぎる!!物騒なことも多い世の中だけど、こういうところはいい時代ですね」と投稿したのはゆずきさん(@yuzukibanri)。26万以上の「いいね」がついています。
駅で泣いていた女の子を改札へ連れて行ったゆずきさんは、その後、女の子のお母さん・ぷすこ。さん(@sumitsrrrtsu)が投稿した「届くかわからないけど…」と娘さんが書いたお手紙の写真を目にし…。SNSで再びつながったあたたかな出来事について、両者に聞きました。
ぷすこ。さんの「娘がお礼も言えなかったと言いながら手紙を書いたのでSNSの力をお借りしたいと思います」という投稿には、小学校低学年の娘さんによる「いろはすとかいさつへ つれてってくれて ありがとうございました」の手書き文字によるメッセージが添えられていました。
ゆずきさんから「多分私…かもしれないです」と娘さんの情報を確かめる返事が届き、ぷすこ。さんは「皆様のおかげで、素敵な方にお礼を伝えることができました」と度々お礼の気持ちを投稿しました。
リプ欄には「Twitterの奇跡を目にした」「優しい世界 ほっこりしました 日本も捨てたもんじゃないな」と感動したり、「この手紙書いた子、本当にいい子で立派だなと思いました!こんな親切な人で溢れかえる平和な世の中がいいですね」「昨今は『誘拐犯と間違われるかもしれないから』とか”助けなくていい理由探し”をするのが当たり前になっているけど、こういうやり取りを見るとやはり行動せずにはいられない」などの声が寄せられています。
お礼の手紙を見て…「嬉しくて泣いちゃいました」
まずは、女の子に声がけをしたゆずきさんに状況や感想を伺いました。
――駅ではどのような状況でしたか?
ホームで女の子が1人で震えながら泣いているように見えたのですが、周りの方々はスルーしていたので、「汗を拭いてるだけかな?」と思いました。念のため近くを通ったら明らかに泣いていたので、正直私も一瞬躊躇しましたが、勇気を出して声をかけました。
――困っていた娘さんの様子に変化は見られましたか?
最初に「大丈夫?」ときいたら、ビクッ!としてさらに泣いてしまったのですが…その後、事情を少しずつ聞きました。その時点でたくさん泣いて顔が真っ赤になっていたので、熱中症になったら大変だと自販機で水(いろはす)を買って渡しました。このご時世なので、蓋はその子に開けさせたり、細心の注意は払いました。ベンチに一緒に座って、落ち着いてきた頃に改札まで行って、駅員さんに引き渡しました。
――女の子が落ち着くために、なにか声がけを?
その子の好きなものや将来の夢などを聞いたりしましたね。私も同じ年頃の姪が2人いるので、話題を合わせられたのがよかったと思います。
――お母さまのツイートに気づかれたのは偶然ですか?
いえ、偶然ではなく友人が「これ、ゆずきのことじゃない?」と教えてくれて、「何のことだろう?」とそのツイートを見にいったところ、「確かに私っぽい!」と思いまして。驚いたと同時に嬉しくて泣いちゃいました。
――改めまして、今回の出来事についてご感想をお願いします。
その後、お母さまから今回に至るまでの事情をDMで色々教えていただいたのですが「娘さんはとても心細かっただろうなぁ」と。でも、そんな娘さんを少しでも救えたのかと思うと勇気を出して声をかけてよかったなと思います。
――多数の「いいね」やコメントが寄せられましたね。
「ちょっと良いことをしたなー」くらいに思っていたのですが、多くの嬉しいお言葉や反応をいただき、大人になると褒められることがないので、嬉し恥ずかしです…!
また、Twitterって本当に日本中、世界中の人と気軽に繋がれるのだなぁ、と改めて感じました。SNSの良い面を100%有効活用したいい体験となりました。ただ、想像以上に自他ともに行動しづらい世の中であることも改めて実感しましたので、少しでも生きやすい世の中になってくれることを願うばかりです。
「勇気を出してくださったこと」に感謝、もらった水は宝物に!
続いて、お母さんのぷすこ。さんにも娘さんの状況や今回の事への思いを教えてもらいました。
――この日の娘さんの帰宅状況は?
電車で寝てしまい、最寄駅だと思って急いで降りたら、見知らぬ場所だったと話していました。どうしたらいいか分からず、泣いてしまったようです。駅から連絡をもらい慌てて迎えに行くと、救護室の中で本を読みながら待っていました。すっかり落ち着いていましたが、目が真っ赤だったのでかなり泣いたのだと思います。
――娘さんは助けてくれた方について、どう思われたのでしょうか?
帰り道に助けてくれた方から水をいただいたと聞き、「お礼言いたかったなぁ」と私が呟いたことで、自分もきちんと伝えられなかったことに気づいたようです。
帰宅してから部屋にこもって手紙を書いていました。最初あまりにも字が汚くて、数回書き直し(笑)、「これお母さん届けてくれる?」と言って寝てしまったので、かすかな望みをかけてTwitterに投稿しました。
――ゆずきさんからお返事がきた時のご感想は?
びっくりしました。本当にその一言に尽きますね。情報が少なすぎたので。それと同時に嬉しくて嬉しくて。ゆずきさんまで繋げてくださった方々や「見ていて嬉しい気持ちになりました」と言ってくださった皆さまにも感謝の気持ちでいっぱいです。
――娘さんはどのような反応をされましたか?
翌朝伝えると実感が湧かなかったようで「ふーん。よかった!」と最初はあっけらかんとしていましたが、その後「似顔絵付きのお礼をまた送ってほしい」と伝えてきたので、ゆずきさんに直接送らせていただきました。似ているかはわかりませんが…(笑)。
――改めまして、今回の事で感じられたことは?
今回は私が迎えに行けず起きた事です。このご時世のなか、声をかけていただけたことに本当に感謝しかありません。娘はあまり感情を口に出すことがなく、よく紙に書いたり、行動で表現するので本当に嬉しかったんだと思います。
「かわいいお姉さんで優しかった」とだけ伝えてきたので「お姉さんは優しさだけではなく、勇気を出してくださったこと、それは当たり前じゃないこと。子どもを誘拐しようとする大人がいる事実はあるけれど、本当に困っている時には助けてくれる大人もいること。そんな大人になろうね。お母さんと頑張ろう」と伝えました。
――お礼の投稿には19万以上の「いいね」がつく反響がありましたね。
娘が帰宅せず電話がつながらなかった時は「何かあったら私のせいだ」と思いました。「親が迎えに行かないせいだ」と言われることを覚悟して投稿しましたが、そんなことを言われる方は全くいらっしゃらなくて。ただ優しい世界が広がっていて涙が出ました。そして、たくさんの声をいただき、いかに声がかけづらい時代かも実感しました。
――状況により、知らない方への声がけは迷う場合もありますね。
確かに不審者もいますので、疑う親なども正義だと思います。けれどTwitterを通してごく一部の人の行動がこんなにも善意の行動をとることへの抵抗に繋がっていることを悲しく思いました。
もし迷子を見つけても、自分が傷つくかもしれないのであれば、無理はしてほしくないです。でも駅員さんや店員さんなどに「こんな子がいました」と伝えていただけたら、その子と親は救われると思います。実際救われた1人です。
◇ ◇
娘さんはその日、ゆずきさんからもらったペットボトルを抱いて寝たそう。その写真をDMでもらったというゆずきさんは「可愛すぎて、また泣いてしまいました(笑)」と教えてくれました。そして、娘さんはお母さんからの「優しさだけではなく、勇気」の言葉を受け、「勇気の印のいろはす!」と言って部屋に飾ったそうです。素敵な宝物ができましたね。
【ゆずきさんTwitter】 https://twitter.com/yuzukibanri
【ぷすこ。さんTwitter】 https://twitter.com/sumitsrrrtsu