どれだけ実績を出しても上司に認められない環境にいると、「なぜ自分は評価されないのか」「なぜ仕事を任せてもらえないのか」と不満を感じることがあります。 そんな閉塞感の中にいる時、ついその原因を「環境のせい」にしてしまいがちです。
吉谷光平さんの作品 『今どきの若いモンは』の一幕『ひと昔前のブラック部署で生き抜いた新人の話』は、そんな不満を抱える若手社員が主人公として描かれ、X(旧Twitter)で公開されると241万回以上の閲覧数を記録しました。
物語は、若手社員の久坊が仕事の壁にぶつかっている場面から始まります。先輩から「自分で気づくしかない」という助言を受けた久坊は、思索の末にある答えに辿り着きます。
例えば、先輩から「自己犠牲をしろ」と言われれば今の時代はパワハラになり、「思いやりを持て」という抽象的な言葉もなかなか伝わりません。しかし、空いたグラスを見て「次は何を飲みますか?」と自然に気遣える相手と、人は一緒に仕事をしたいと思うもの。仕事を任せてもらうためには、誰かに強制されるのではなく、「自分で気づき、自分で選んで行動すること」以外に道はないのだと久坊は悟ります。
久坊は「これまでの自分」を捨てる決意をし、優秀な同期を徹底的に調査して真似を始めます。自ら進んで勉強し、あらゆる雑用を引き受け、飲み会のセッティングや一発芸まで、すべてを「自発的」にこなしていくのです。強要されたわけではなく、自らの意思で積み上げた行動が、やがて周囲の信頼へと変わっていきます。
世の中はいつでも自分に適切な高さの階段を用意してくれるわけではありません。「環境がおかしい」と叫べば同情は得られるかもしれませんが、現実は変わりません。それなら、目の前の高い壁すら越えていける自分になると久坊は強く意気込むのでした。
読者からは「時代には逆行してるかもしれんが本質ではある気がする」や「この話、何度読み返しても刺さります!!」など、さまざまな声があがっています。そんな同作について、作者の吉谷光平さんに詳しく話を聞きました。
向上するための「自己否定」
ー「自分を否定する」というセリフが何度も登場しますが、この言葉に込めた想いがあれば教えていただきたいです。
「自己肯定感」という言葉を聞くようになり、違和感を感じていました。根っこの肯定感は確かに大切ですが自己を否定的に見ることで向上することもある。ということを描きたかったです。
ー階段の対比にはどういった意図があったのでしょうか?
いつもいいタイミングで適切な階段が用意されるわけではなく、地獄のように辛い階段も時にはある。という意図で描きました。
ー「人がやりたがらないけど必要なこと」を積み重ねていくことは、どのような仕事であっても通づるものだと思われますか?
他人にとって必要なことをやるのが基本的に全ての仕事の本質だと思います。それを自分がやりたいかやりたくないか、たまたま他人がやりたくないことがすごく好き。なんてこともあるとは思います。
<吉谷光平さん関連情報>
▽『今どきの若いモンは』連載サイト(サイコミ)
https://cycomi.com/title/87
▽電子書籍『今どきの若いモンは』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0875FV4GF
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