世界に1台だけ!?「お茶漬け自販機」の実食レポに反響 話題のレトロ自販機って?

泡☆盛子 泡☆盛子

冒頭のえぬびいさんのツイートには、気になるコメントが投稿されていました。

「私がお茶漬けパネルを寄贈させて頂きました!皆さんに喜ん頂き嬉しいです。過去の情報もほとんど無いそうで当時から非常にレアだったそうです。当分はお茶漬けを売るそうなので是非食べに行ってみて下さい!」と書き込んだのは、K·YOSHIKI(@AE86_GTS)さん。

一体どういう経緯で寄贈されたのでしょうか。詳しくお聞きしてみました。

──レトロ自販機探しやその修理をなさっているとのことですが、ご趣味で? それともお仕事で?

仕事ではなく趣味でやっています。学生の頃、父に連れられて地元の今は無き自販機コーナー「鉄拳タロー」に行った際に初めてレトロ自販機の存在を知りました。それがかなり衝撃的で、レトロ自販機に興味が湧きました。就職をした頃にコレクターの方から2台のレトロ自販機を譲り受けたのですが、電源も入らず鍵もない状態だったためオブジェになっていたんです。ある日「直してみよう」という話になって兄弟で修理してみたところ、運よく直ったのがきっかけでさらにハマりました。

現在は、自分で探してまわったりSNSで情報を提供していただいて現地に足を運び、オーナーさんとお話をして交渉を重ね譲っていただいています。設置されてから30年以上経つ物がほとんどで、ひと昔前までよく見かけた古ぼけた廃自販機は激減し、残っている物の状態も悪化しています。そのため、一刻も早く直せそうな見込みがある廃自販機を救出しています。

「ひなびた風情に合う廃自販機を持っていかないで欲しい」というご意見もあります。しかし、私の考えとしては、その場で消えていくよりは1台でも多く世の中に残したい。そう思って行動しています。

──新たに作れるものではないだけに、現存するものを状態よく残すのは大切なことのように思えます。このお茶漬けパネルを寄贈された経緯を教えていただけますか?

この自販機がある「相模原中古タイヤ市場」さんは以前からよく伺っていた憧れの場所で、ある時アイスのレトロ自販機を譲っていただいたことからお付き合いが始まりました。

私自身も将来はレトロ自販機コーナーを開設したくてレトロ自販機やパーツを全国から収集しているのですが、名古屋から「川鉄自販機」のパネルをまとめて入手した際、その中に見かけないパネルがありました。それがこのお茶漬けパネルです。詳細を調べても「80年代に自販機コーナーで見かけた」という情報しかなかったんですね。でも、中古タイヤ市場さんにはそのパネルが使える自販機があるのを知っていたので、新しい話題作りになればという思いを込めて、親睦の証として寄贈させていただきました。

そしてお茶漬け自販機が設置され、後日伺うと多くのお客さんに囲まれている姿が! お茶漬けに300円は高いかも?と不安でしたが、売り切れになるほどの好調で安心しました。私も実際にいただいてみましたが、大きな鮭とちょうどいい塩気にとても満足しました。

──奇跡的な巡り合わせだったんですね。K·YOSHIKIさんにとって、レトロ自販機の魅力とは?

なんと言っても個性のある奇抜なカラーリングやデザイン、ルーレット式の当たり付き自販機など、今は消えてしまった要素がたくさん詰まっているところですね。コンビニが普及する前は日本各地に麺類、ハンバーガー、トーストなどこの手の商品が買える自販機コーナーやお店がたくさんありました。万事便利になった現代では効率が悪いかもしれませんが、一周回って新しい価値が生まれていると思っています。お店や地域によって味が違うのも魅力の一つ。私自身も全国の自販機コーナーを制覇するのが夢でもあります。

──レトロ自販機の修理について教えてください。

現在は興味を持ったレトロ自販機を入手し、修理しながら保管しています。基本的にレトロな缶の自販機が好きで直す事が多いですね。最近はUCCコーヒーの自販機を修理中です。

外装のパーツは替えが効かないので特に苦労します。綺麗に保ちつつオリジナルの魅力を残していきたいので、欠損や劣化したパーツが多いとかなり難航します。内部の電装部品も同じく廃盤部品が多いので代用を探すのに苦労しますね。それでも、街角で朽ち果てていた自販機に再び魂が入り本来の姿に戻った時の喜びは言葉にできません。

──この記事でレトロ自販機に興味を持った方へ、初めて利用するときのアドバイスをお願いします。

近年メディアなどに多く取り上げられ、これまで以上に多くの方が利用されるようになりました。そんななか、とても残念なことに2021年9月5日「相模原中古タイヤ市場」さんにて、ハンバーガー自販機が壊される事件がありました。ニュースにもなったのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。

数十年前に作られた自販機なので当然部品はなく、修理は困難になりました。本来ならば保管をし博物館のように展示するのがいいのかもしれません。しかし、物を売る使命を持って生まれた自販機にはいつまでも皆に愛され、「生きる産業遺産」になればと私は思っています。

利用される際には優しい気持ちをもって、お金を入れる際もゆっくりと入れるなど、ちょっと気をつけてみていただけたらと。レトロ自販機を見かけたら、ぜひそんな感じで利用してもらえると嬉しいです。

──ただ物を買うだけではなく、その背景に思いを巡らせることでレトロ自販機をより楽しむことができるということですね。

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レトロ自販機の情報が満載!
◾️K·YOSHIKIさんのツイッター
https://twitter.com/AE86_GTS

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