うんこでたっぷりの便器を模した最中(もなか)、「トイレの最中(さいちゅう)」がSNS上で大きな注目を集めている。
タンクレス型の便器を精巧に再現した最中種の中に注がれたあふれんばかりのあんこ。…和菓子としては異例のその思い切ったデザインにSNSユーザー達から
「素晴らしいの一言に尽きる。これは欲しい」
「最中もらったんだけど いや、食慾湧かねーwwww」
「水回りの仕事をしている我が家…スゴい気になる…(笑)」
など数々の感嘆の声が上がっている。
この「トイレの最中(さいちゅう)」を製造する「大蔵餅」運営元・株式会社甘節庵代表の稲葉憲辰さんにお話をうかがってみた。大蔵餅のある愛知県常滑市は便器など衛生陶器の有数の産地として知られる。
中将タカノリ(以下「中将」):非常に思い切ったデザインの商品ですが、どのような経緯で誕生したのでしょうか?
稲葉:15年ほど前、商工会議所青年部会長時代の懇親会にINAX御本家の伊奈輝三さんに御参加いただきました。その時に、「うんこの代わりにあんこを入れる、衛生陶器の商品を作りたい(笑)」と、呑みながらお話させて頂いたところ大いにウケて、笑いながら「是非ともやりなさい!」と言われました。それが今回、LIXIL榎戸工場見学記念商品として採用されました。
「うんこ」の代わりに「あんこ」を入れるという、見た目と言葉が似ていることに着目した商品です。15年前は無理かと思いましたが、今は「おしり」や「うんこ」が市民権を得ていること、またコロナ禍で閉塞感の満ち満ちた時代を笑い飛ばしたいと思いました。完成品は一番に輝三さんのところへお持ちさせて頂きました。輝三さんには大変喜んでもらえて「よく作ったね!」とお褒めの言葉を頂き感無量です。
中将:制作にあたりこだわられたこと、ご苦労されたことをお聞かせください。
稲葉:やっていることがふざけているので、パッケージはなるべくスタイリッシュにして、そのギャップを楽しみたいと思いました。
INAXの「サティス」のリアルなビジュアルの再現にこだわりました。最中の型作りについてはLIXILの原型師の方のご協力が大きいです。また「最中」を「さいちゅう」と読ませたかったので、パッケージの上に「ただ今使用中!」とあえて色を変えて表示してみました。
中将:INAXの記念商品ということですが、大蔵餅での店頭販売もされているのでしょうか?
稲葉:現在LIXILさんの注文が始まったばかりで手一杯なので、店頭販売は少し先になります。LIXILさん用は2個入りの専用段ボールに入った商品で、店頭販売は1個売りを予定しています。
中将:これまでの反響へのご感想をお聞かせください。
稲葉:無記名無責任なツイッターでバズっているらしいです。ネットで「思惑通りバズったね」とか書かれているらしいですが、元々LIXILさんからの依頼と15年前から私が作りたかったことがマッチングして生まれた商品で、バズろうと思って作ったものではありません。しかし、評価されることは素直に「ありがたい」と思っています。
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「トイレの最中」の店頭販売は9月中には開始されるとのこと。全国の便器マニアや最中好きは是非大蔵餅公式サイトの更新状況をチェックしていただきたい。
大蔵餅公式サイト:https://www.ohkuramochi.jp/