山形県の郷土料理「納豆餅」がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは「僕が人生で一番驚いたのが納豆餅が全国区の食べ物じゃないこと・・・秋田市に住んでた頃に学校の友達に話したら"え、なに、怖"って反応されたの一生根に持ってる」という山形県出身のイラストレーター、安彦ジョージさん(@abikozyozi)の投稿。
餅に納豆をトッピングするのはさほど珍しい食べ方ではないが、山形の納豆餅は大量の麺つゆか醤油でといた納豆を餅とからめ、仕上げにネギをまぶすというもの。安彦さんの体験はいささか気の毒ではあるが、それはともあれフツーに美味しそうだ。安彦さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「へーそんな美味そうな食べ方あったんだな ちなみにこっちの餅の形は四角が普通だからなぁ(福岡県民」
「一瞬気持ち悪いって思ったけど、よく考えたら普段食べてる納豆掛けごはんと何も変わらなくて笑ったw 偏見って怖い!」
「埼玉県民ですが昔から納豆餅は食べてるし好きですね( ・ิω・ิ) 普通に全国区のスタンダードな食べ方と思っていました(;・ิω・ิ)」
「自分、宮城県出身ですけど東京人にも否定されましたな。納豆餅。学校の餅つきイベントでは、あんこ、きな粉、ずんだ、納豆が欠かせない。逆に砂糖醤油が無かったかも…」
など数々のコメントが寄せられている。
安彦さんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):納豆餅は山形県の名物ですが、県内どこでも食べられているものなのでしょうか?
安彦:僕の知る範囲だと山形県内だとほぼ食べられているという認識です。多少の差異はあるものの、山形県内のものは納豆に対してツユが多めのものが多数派と思います。
中将:山形ではどのようなタイミングに納豆餅を食べるのでしょうか?
安彦:主にお正月等の全国的に餅が食べられるシーズンに雑煮やあんこ餅と一緒に出てきます。県内の田舎だと自宅に餅を作る機械を持っている家庭が多く、つきたての餅で作るのが一般的です。むしろ、納豆餅が一番美味しいのがつきたての餅です。
中将:秋田の方の納豆餅に対するリアクションについてあらためてお聞かせください。
安彦:学生時代に秋田に住んでいた頃、実習で餅を作ることになりました。雑煮やあんこ餅で食べることになったのですが、何気なく「納豆餅も欲しいねー」と言ったら秋田県内でも県南側の山形に近い方の友人だと理解してくれるのですが、秋田市より上のの県北の友人には説明しても全然通じませんでした。まさに「はぁ?何言って…」という感じで。ただしもう10年も昔の話ですし、「ツイートでテレビで取り上げられてたよ!」という情報もあったので、昔よりは若干の認知度が上がったように感じています。
中将:今回の反響に対するご感想をお聞かせください。
安彦:納豆餅は特別なものは使わないシンプルな料理なのですが、同じようなものを食べるという地域の人、形や調理法が全く違う地域の人、存在すら知らなかった人まで、さまざまな方から反応がありとても驚きました。私個人としても食べることが大好きなので、こうして自分のツイートを通して全国の皆さんに山形県の食文化を知っていただいたので大変嬉しかったです。コロナが落ち着きましたら是非山形県に遊びに来ていただいて、食べ物や風景、温泉などゆっくり過ごしていただければ幸いです。
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偏見は美食の最大の敵。つきたての餅を入手するのは難しいが、それ以外の工程は非常にシンプルなのでぜひ読者のみなさんもご自宅で納豆餅をためしていただきたいと思う。