「鰀目」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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魚篇のつく名字はたくさんあり、難読のものも多いが、「鰀目」はその中でも特に難読なものの一つ。
「鰀」という漢字は「あめのうお」と読み、琵琶湖にのみ生息する淡水魚ビワマスのことである。ただし、名字としては「鰀目」と書いて「えのめ」と読む。
この名字、実は地名由来である。ルーツとなったのは能登国鹿島郡鰀目村(石川県七尾市能登島町鰀目)で、漁港として知られている。
この難読地名の由来だが、かつてこの付近には漁船を害するエイがいたという。そこで、この地の嶽宮の神が鰹木(神社の屋根の一部)に上がって、このエイの目を弓で射て退治したことから「えいのめ」という地名が生まれ、古くは「鱏目」と書いたという。そして、「鱏目」が「鰀目」と変化し、読み方も「えのめ」になったという。
室町時代にはここを本拠とした鰀目氏がおり、鰀目城跡が残っている。