新型コロナの感染が再拡大、まん延防止にいま知りたい疑問に豊田真由子が答える<前編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

変異株は子どもにかかりやすくなっている?

大阪府の3月15日から4月5日までの新規感染者の年代は、30代までが感染者全体の55.1%、20代までが全体の41.4%を占め、若い世代に感染が広がっている傾向がみられます。昨年10月10日から今年2月末までの第3波では、30代までが感染者全体の45.6%、20代までが全体の32.2%で、第3波と比べても若い世代の感染が多くなっています。

変異株が従来株に比して、「特に子どもにかかりやすくなるように変異した」ということではなく、「すべての世代にかかりやすくなっていて、結果として、これまで『かかりにくい』とされてきた子どもにも感染するようになった」ということだと考えられます。

従来株がなぜ子どもの感染が少なかったか、という理由には諸説ありますが、ウイルスがヒト細胞に侵入する段階で、ウイルス表面のスパイクたんぱく質と結合して吸着する、ヒトの細胞表面の受容体(たんぱく質の一種であるアンジオテンシン変換酵素II:ACE2受容体)の数が、子どもは少ないからではないか、という説があります。

今回の変異株N501Yは、ウイルス表面のスパイクたんぱく質の構造が変わり、結果として結合力が上がっていると考えられ、そうすると、暴露するウイルス量が少なくても、あるいは、子どものように受容体の数が少なくても、ウイルスのヒトの体内への侵入が成立する、ということになります。

つまり、変異株は、大人も子どもも、かかりやすくなっている。したがって、今までと同じ行動を取っていたら、(これまでは大丈夫だったかもしれないが)変異株には感染してしまう、ということになります。

さらに、若年層にも感染することから、学校での対策が必要となり、大阪府では、小中高校の部活動と大学の対面授業の自粛が決められました。私は、学校の一斉休校は、弊害がとても大きい(学びの機会が著しく棄損される、虐待や貧困家庭の状況悪化等)ため慎重であるべきと考えます。集まって関わり合いたい強いエネルギーを持つ若者に、今の状況を正しく理解してもらって、感染リスクを抑える行動を取ってもらうか、そして、どうやってできるだけ制限少なく日常を送ってもらうか、彼・彼女らの気持ちに立って考えることが必要だと思います。

【参考】厚生労働省第30回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年4月14日)大阪府:新型コロナウイルス感染症関連特設サイト地域医療情報(日本医師会)感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第8報)(国立感染症研究所)都内の変異株の発生割合(東京都健康安全研究センターによる調査)変異株PCR検査(スクリーニング検査)における陽性判明率(大阪府)各国人口100万人当たり新規感染者数これまでの新型コロナワクチン総接種回数人口100人当たりの新型コロナワクチン(総計)接種状況(Our World in Data)新型コロナワクチンの製造国の国内供給量と輸出量(Airfinity)

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