新型コロナの感染が再拡大、まん延防止にいま知りたい疑問に豊田真由子が答える<前編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

各地で新型コロナの感染が再拡大し、4月14日現在、大阪、兵庫、宮城、東京、京都、沖縄の一部地域に、「まん延防止等重点措置」が適用され、愛知、埼玉、神奈川、千葉などにも拡大される予定です。

目次
#1 緊急事態宣言は解除すべきでなかった?
#2 変異株の特徴は?
#3 変異株は子どもにかかりやすくなっている?
#4 国内のワクチン接種の見込みは?
#5 ワクチン接種したら、マスク無しでよいの?
#6 副反応は?
#7 医療ひっ迫の原因は?どうしたら解決する?

緊急事態宣言は解除すべきでなかった?

「緊急事態宣言を解除したら感染が再拡大することは予想されたのだから、解除すべきではなかった」といった声がありますが、これは政策判断としては、致し方ないところだと思います。緊急事態宣言解除には、基準となっている指標(病床占有率、重症者用病床占有率、療養者数、新規陽性者数等がいわゆる「ステージ4」)があり(※「設定されたその基準の数値がベストか」という点は議論があるかもしれませんが)、それらを満たしていれば基本的には解除しないわけにはいきません。同様に、要件に達した場合は、緊急事態宣言を発出することになります。なおそもそも、緊急事態宣言とそれに伴う様々な要請は「公権力による私権の大幅な制限」ですから、「最小限の内容・最低限の期間」であることが求められます。

ただし、緊急事態宣言を解除する場合に、「解除して、何も無し」にするのではなく、「まん延防止等重点措置」を同時に行うなどして、実際の規制内容としてもメッセージとしても、段階を踏んでいくといったことが必要だったのではないかと思います。重点措置適用の要件は「ステージ3」または局地的に急速な場合は「ステージ2」と幅があり、裁量が働くわけですが、いずれにしても迅速な判断が求められると思います。

緊急事態宣言の解除と春の到来とで、人の動きは大幅に増えました。国民は、長期にわたる緊急事態宣言下で疲弊していましたので、解除されたら一斉に外に出ますし、エネルギーあるふれる若者はより一層そうなります。これを責めることはできないと思います。

以前より申し上げていますが、そもそも、新興感染症の感染の波は、大きいもの小さいもの、何度も繰り返し来るのが通常です。新型コロナの第4波のような一つの感染症の流行の仕方としてもそうですし、今後の異なる新興感染症の発生という意味においても、です。

特に新型コロナウイルスは、これまでの多くのウイルスと比較しても、症状が軽いものから死に至るものまで多岐にわたることや、不顕性感染の割合が高いこと、変異株の流行などが、さらに対応を難しくしており、世界各国が対応に苦慮しています。

危機管理として「来ないはずのものが来た」ではなく、「来るのは仕方ないが、それをどうやって、皆でできる限り抑えるか」という発想が、心構えとして有用ではないかと思います

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