「正親町」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
◇ ◇
公家の名字で一般的にはあまり知られていないものだったが、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で坂東玉三郎の演じた正親町天皇が話題になったことから読み方を知った人も多いだろう。
正親町家は藤原北家の公家で、「おおぎまち」と読む。
公家の家名の多くは京都の地名に由来している。
京都市内の東西に通る中立売(なかだちうり)通は正親町通ともいい、かつては平安京の正親町小路であった。律令制では皇族(おおきみ)の名籍(官位・姓名・年齢などを書き記したもの)を管理する正親司(おおきみのつかさ)という役職があり、この役所があったことに因む地名である。
正親町家からは幕末には一族から孝明天皇の生母も出し、明治時代には伯爵となった名家であった。もう一家、正親町三条家という長い名字の公家もあったが、こちらは明治になって嵯峨家と改称している。
なお、現在中立売には正親小学校があるが、読み方は「せいしん」小学校である。