「コロナウイルスで日本が滅んだ世界」100日間描く漫画が話題 今だから描けた?パンクな世界感に注目

川上 隆宏 川上 隆宏

「コロナウイルスで日本が滅んだ世界」を舞台にした漫画がTwitterで話題です。日々投稿され、100日目に最終回を迎える予定といい、9月17日夜には8日目が更新されました、殺伐としたハードボイルドなストーリーと思いきや、ちょっといい出会いがあって仲間が増えたり、夢を見失いかけていた人が救われたり…。毎晩目が話せないと注目を集めています。

投稿しているのは「研そうげん」(@kensohgen)さん。サブカルチャーの聖地として知られる東京・中野を舞台に、謎の生命体と出会った美大予備校生の日々をコメディタッチで描く「中野ブギウギ」などの作品を手がけている漫画家の方です。

今回の漫画は9月10日に投稿が始まりました。病気の流行によって荒廃してしまった国で、廃品を売買することで生計を立てている少年・少女が主人公。バス(キャンピングカー)に乗って移動していますが、なぜかコロナのワクチン(治療薬)を持っていることがラジオで報じられ、いろいろな出来事が起こります。

一方、4日目には、ギターを売りにきたミュージシャンの女性との出会いも。大切な楽器を手放し、音楽をやめようと思った理由を女性はこう語ります。「音楽は生きていくには何の役にも立たない」「この世界で好きを貫いていけるほど、ウチは狂ってない」。…そんな女性に主人公たちは「引退ライブ」をしないかと持ちかけます…。

とても厳しいアングラな世界を生きているはずなのに、なにか軽やかで楽しげな主人公たち。そんな作品について、リプライ欄には「パンクな世界観が好きすぎる」「毎回面白くなっていく」「作画もカッコいい!」といった声が続々と寄せられています。

研そうげんさんに聞きました。

――なぜ、今回の漫画を描かれようと思われたのでしょうか。

「前の連載(中野ブギウギ)が終わって仕事がなくなり、次の仕事に繋がれば、と思って描きました。『コロナ』で『日本が滅んだ』というワードはPV数を稼ぐためで、特に社会的な意味を持っていません」

――「100日間で最終回を迎えるスタイル」で描かれようと思われたのは…?

「そういったスタイルが流行っていたからです。また、なにかに追われないとなにもできないので」

――しかし、100日間毎日更新するのはとても大変なことなのでは…。Twitterのコメント欄には「このクオリティーの漫画を毎日読めるのはすごい」との声も寄せられていました。

「作業量はさほど多くないです。ストーリーは見切り発車で始めたので行き当たりばったりです。大体昼に物語を考え、そのまま夜まで作画しています」

――新型コロナの感染拡大によって、研そうげんさん自身の暮らしでなにか変わったことはありますか。

「もとより在宅ワークだったのでなにも変わりはありません」

――コロナを題材にすることに困惑しているコメントもありましたね。半年前に投稿していたらバッシングを受けていたのではないかと危惧する人もいて、今だからこそ描けた漫画だったのかもしれません。

「コメントはたくさんいただけて本当に嬉しいです。否定的な意見もありがたく受け止めています」

――まだ90日分ほどこの漫画は続きますが、これからどのようなことを表現したいと思っていますか。

「『廃墟を』『キャンピングカーで旅』する漫画を描きたくて始めたので、のんびりとした作品にしたいです」

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