Twitterで連載されていた4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」が先日最終回を迎え、良くも悪くも大変な話題になった。そんなワニ人気を当て込み、インターネット上では玉石混淆のパロディ作品も数多く生まれているが、中でも異彩を放っているのが、由緒ある大阪大学が公式InstagramとTwitterで展開しているイラスト「100日後に入学するワニ(博士)」なるシリーズである。安易な便乗だと石を投げるなかれ。実はワニと阪大には、知られざる深い関係があるのだ。
「100日後に死ぬワニ」の注目度がぐんぐん上昇していた2月下旬に突如、阪大の公式アカウントが世に放った「100日後に入学するワニ(博士)」。記念すべき初回は、ワニが試験会場(阪大)の下見に訪れたイラストだった。“本家”に倣ったカウントダウンは、初回の時点ですでに「62日目」「入学まであと38日」まで進んでいた。
その後も「前期試験当日」「合格発表の日」「住まい探しの日」など、これまでに計5点のイラストを投稿。現時点での最新回は、“本家”が完結した3月20日のもので、ワニがスマホで(おそらく)その最終回を読みながら「まじかー」とつぶやいている様子が描かれている。
阪大ともあろうものが、なぜここまで大胆な行動を取れるのか。その理由は、阪大の公式マスコットキャラクターが他ならぬワニだからである。正確に書くと「ワニ博士」。1964年、阪大豊中キャンパス理学部の新校舎工事現場で発見されたマチカネワニの化石に、「阪大の『知性』」と「大阪独自の『明るさ』」が加わって化学反応を起こし、生まれたのだとか。そして2014年には、化石発見50年を機に「公式」として認定された。阪大の“ワニ歴”は、かくも長いのだ。
SNSアカウントを運営する広報課によると、イラストを担当しているのは、デザインの観点から阪大のブランディングをマネジメントする学内組織「クリエイティブユニット」。「100日後に死ぬワニ」にオマージュを捧げつつ、ワニ博士が博士になる前(つまり阪大に入学した頃)のストーリーを描くことで、新入学生に親しみを持ってもらうのが狙いだという。
担当者は「普段の投稿に比べて反響が大きく、学外の人にもワニ博士の存在を知っていただけたのではないか。受験生の応援としても一定の効果を上げている」と手応えを語る。
なお、当初「100日後」のゴールに想定していた4月2日の入学式とオリエンテーションは、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため開催が見送りに。スケジュールは状況に応じて今後も流動的になるとみられ、当面はオンライン授業を積極的に導入していくという。はてさてワニ(博士)はどんな結末を迎えることになるのでしょうか…。