大阪湾に沈むレジ袋は300万枚!?喫緊の「プラごみ問題」…レジ袋有料化1カ月にあわせ専門家に聞いた

川上 隆宏 川上 隆宏

――レジ袋有料化を通して、海洋への影響を含めてプラスチックのごみ問題は解決できるのでしょうか。

レジ袋有料化はまだ始まったばかりで、プラスチックごみの減量にどれほどの効果があるかは今後の結果を待たないと、何とも言えません。ただ、解決できる・できないではなく、『解決しないといけない問題』であることは確かです。

今回の有料化は一般市民の方々に対して、プラスチックごみに関心を持ってもらう機会になっていると思いますし、ポリ袋全体の使用量が減れば、ごみの量も減ると思いますので、進めるべきだと思います。

――プラスチックごみの問題を解決するために、ポリ袋有料化以外にどのようなことが考えられていますか。

ほかのプラスチック製品についても今後は使用を制限していく必要があります。例えば、河川や海洋のプラスチックごみの中で、上位に来るペットボトルについては、日本の飲料メーカーもデポジット制の導入を検討しています。

――なにか私たちの暮らしの中でできることはありますか。

個人レベルでも、マイボトルやマイ箸・フォークなどを持ち歩き、ペットボトルや使い捨てプラスチックフォークの使用を減らすなど、できることはたくさんあります。プラスチックの使用を減らせば、プラスチックごみも減らすことができますね。

あと、学生や市民団体と一緒に河川清掃をしていると、プラスチックごみが至るところで見られますが、ごみ拾いをしているすぐそばで、ポイ捨てしていく人もいます。まだまだごみをゴミ箱に捨てない人がいますので、一人一人がごみを適切に捨てる・処理することも大切だと思います。

   ◇   ◇

なお、業界団体からは、ポリ袋から紙袋に転換すると製造・輸送にコストやエネルギーが余計にかかるとの指摘も出ています。これについて石田准教授は、日本の森林保全をどうするのかという観点から考えれば、短期的にとらえるような問題ではないと説明しています。

「近年、戦後にたくさん植えられた人工林や里山が放置され、土砂災害を起こしたり、水源涵養する機能が低くなってきたりしています。放置されているのは、伐採にコストがかかり、売っても儲けにならないことが大きな理由です。紙袋の需要増にあわせて、日本の地元の森林資源を積極的に活用すれば、放置された森林を健全な状態に戻すことにつながるのではないでしょうか。また、海外産ではない地元の資源で製造し流通させることで、エネルギーや輸送コストも抑えることができます。50年後100年後の将来に向けて、地域の循環型資源を利用することは合理的だと思われます」

◆石田裕子 摂南大学理工学部都市環境工学科准教授。博士(工学)。京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻博士課程修了。摂南大学工学部講師、理工学部講師を経て2014年より現職。研究領域は、河川生態学・応用生態工学。

◆摂南大学 https://www.setsunan.ac.jp/  

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