新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための休業要請や、県をまたぐ移動の自粛が解除されたものの、第2波を見据えて人との接触をできるだけ減らす「新しい生活様式」が続きます。家ですごす時間が長くなればなるほど、食材の買い出しが必要に。
そのため、車から降りることなく野菜が購入できるドライブスルー方式の販売に注目が集まっています。兵庫県や大阪府の学校給食用の野菜をメインに納品している卸売会社「丸安青果」(兵庫県西宮市)のドライブスルーに行ってみました。
野菜購入の申込方法は?
丸安青果のドライブスルー販売を利用するには、まずホームページに用意されたリンクからLINEの「お友達登録」をします。LINEのタイムラインやフェイスブックで、その週に注文できる商品を確認して、LINEで注文すると受け取り用の番号を知らせてくれるというシステム。とてもシンプルですね。
申し込める商品はどんなもの?
・野菜セット(17種)3000円
・ハーフ野菜セット(11種、キャベツなら半分と量も少なめ)1500円
・定番フルーツセット2種類
・父の日企画の近江牛5種類
・父の日企画のクラウンメロン
・父の日企画のシャインマスカット
・父の日企画の宮崎マンゴー
・淡路島産たまねぎ(10キロ箱)
・デニッシュ食パンとホテル食パン
・奥丹波の卵
・丹波篠山産コシヒカリ
・北海道スーパーフルーツトマト(箱単位)
・淡路島手延べそうめん
・ホワイトコーン2本とイエローコーン4本のとうもろこしセット
・鳥取県産大栄スイカ
筆者が受け取った6月20日のラインアップです。盛りだくさんで、選ぶ楽しみがあります。また、セット販売だけではないので、必要なものを選んで購入できるのもポイントです。
商品の受け取りは?
筆者は今回お試しで、ハーフ野菜セットと定番フルーツBセット、とうもろこしを注文しました。さぁ、受け取りです。卸売会社ですからもちろん店舗はなく、野菜の受け取りは西宮浜にある物流センターに面した路上です。到着すると先に2台の車が受け取りの最中でした。自分の番になったら、歩道側の窓を開けて、マスクをした担当者に受付番号を伝えます。すると冷蔵保存されていた商品をビニール袋に入れて持ってきてくれ、後部座席やトランクに積み込んでくれます。あとは、お釣りがないように用意した現金を渡して完了。ほぼ、人との接触はありませんでした。
ドライブスルー販売に向いているのは、どんな人?
家に帰って商品を広げてみると、ハーフ野菜セットには追加でレタスや春菊も入っていて量がたっぷり、さらに葉も生き生きしていて新鮮です。筆者は、夕食のメニューを決めて買い物に行くタイプではないので、用意された野菜セットでも問題ありません。お肉や魚を中心に買い足せば、3人家族の我が家なら1週間近く過ごせるくらいの量ですから、スーパーでの人との接触も減らせそうです。ドライブスルー販売が向かない人は、ハーフセットでも量が多いと感じる人や車を所有していない人でしょうか。
◇ ◇
丸安青果の代表取締役社長・森 宗也さんにお話を聞きました。
──給食が始まりましたが、ドライブスルー販売は継続される予定ですか?
毎週土曜日限定で継続させていただきます。ただし、平日しか来られない方は、事前にご予約いただければ、到着後に電話をいただく形で対応できます。
──現在はどのくらいの方が利用されているのですか?
予約数は、土曜日だけで250人くらいです。
──野菜セット以外にもいろいろあって選ぶのが楽しいと感じました。
野菜セットは単価設定しておりますので、旬のオススメしたい物を野菜セットに入れるのが難しいことからオプションにしたり、お米、パン、卵など、日常的に食べる物も一緒に販売するようにしています。そのため青果以外の、精肉、鮮魚、乳製品、豆腐等のコラボ企業も募集しています。
──買った人からの反響はどうですか?
「鮮度がいい」「楽して買える」「学校給食の野菜だから安心」「量が多くて安い。ずっと続けて欲しい」「タイムラインを見るのが楽しい」「スーパーで買う時は毎回同じ野菜を買うから偏りがちだが、普段は買わない野菜が入ってるのでレパートリーが増えた」などといただいています。
──ドライブスルーで販売したことで何か影響がありましたか?
給食の食材を納品している企業として信用を裏切ってはいけないと、あらためて従業員の意識改革に繋がりました。最初は小売りをしても受け入れられるか不安でしたが、おもいきって一歩踏み出したことで、野菜や食品のこれからの売り方が見えた気がします。
現在社会問題にもなっている、フードロス、宅配業者のドライバー不足を解消できる販売方法も思いつきましたので、今後はSNSを駆使し、新たな小売り事業を確立していきたいと考えています。