京都を拠点に活動する50~70代の男性によるコンテンポラリーダンス集団「ロスホコス」が人気を博している。ひたむきな身体表現で心をつかみ、6月に英国・グラスゴーで開かれるイベントに招待された。その踊りはユーモアか哀愁か。同年代のダンスグループと連携する構想もあり、おやじたちの連帯を強めようともくろんでいる。
ロスホコスは2011年、アマチュアのダンスイベントに参加したのをきっかけに結成した。スペイン語の複数形の男性定冠詞「los」と祇園祭の山鉾(ほこ)にちなんで命名。京都市や大阪市に住む建築士や高校教師、大学教員ら8人が毎週土曜、東山区の東山いきいき市民活動センターで稽古に励んでいる。
踊りは特定のジャンルにとらわれない。若者のような瞬発力やキレはないが、中高年ならではの味を大切にする。列をつくってきびきび歩き、順番に横回転するダイナミックな動きをする時もあれば、2人が無言で座り頰を寄せ合う動きの少ない時もある。レパートリーは40を超える。
面白く楽しい身体表現と技術がなくても一生懸命がテーマ。代表理事の乾光男さん(68)=伏見区=は「全力を尽くす中でおやじらしさが表れると思う」と語る。反応はさまざまで、シュール(非現実的)やペーソス(哀愁)を感じる人がいれば「一緒に踊ってみたい」との声も寄せられている。
今以上に活動をまい進させようと、昨年に団体を一般社団法人化した。今年1月26日には中京区のライブハウス「UrBANGUILD(アバンギルド)」で久々に単独公演を開催した。約80人が来場した会場は満員となり、笑いあり歓声ありの大盛況だった。
現在は6月の英国でのイベントに向けて練習に励みつつ、他のおやじダンサーたちとつながる「おやじダンスネットワーク」を構築しようとしている。乾さんは「定年退職後もやること、楽しいことがあるぞと伝えたい。みんなを引き込みグローバルに展開したい」と思い描く。