冷たい飲み物が美味しい季節になってきました。そんな中、岐阜県にある食器メーカーが冷たい牛乳を注ぐとかわいいパンダとペンギンの姿が出てくる、何ともかわいい牛乳瓶を発売し、わずか1時間で予定数量を完売する人気になっています。でも、なぜ食器メーカーが牛乳瓶を?開発に込めた思いを聞きました。
製造するのは、日本一の陶磁器生産量を誇る「美濃焼」のメーカーの一つ「丸モ高木陶器」(岐阜県多治見市)。今年1月、熱い物や冷たい物に触れると色が変わり、絵柄が浮かび上がる「温感・冷感転写」技術を用いた特殊なステッカーを実用化。2月には冷酒やシャンパンを注ぐと桜の花が浮き出るグラスや酒器を発売し、日本だけでなく海外でも大きな話題を呼びました。
牛乳瓶は、今月20日にインターネットサイトで販売開始。SNS上でも「かわいい!」「癒やされます」などと話題を呼びましたが、1時間もしないうちに完売し、今も再販を求める声が相次いでいます。
―でも、なぜ牛乳瓶を?
「2月に発売した桜の酒器以降、冷感転写の技術を使っていろんな商品を作っていたのですが、そんな時、このコロナ禍で学校が休校になり、給食用の牛乳が余って酪農家の方々が大変困っていると聞きました。農林水産省も『牛乳やヨーグルトをもう1つ余分に買って欲しい』と訴えていましたし、子どもたちも休校に外出自粛が長引き、ストレスをためている。牛乳消費のお手伝いができて、子どもさんたちにも喜んでもらえたら、と思ったのがきっかけです」
―動きが素早いですね!パンダとペンギンを選んだ理由は?
「実は、この前にパンダ柄のグラスを作っていたので、デザインはそれを活用したんです。パンダもペンギンも、やはり背景が牛乳の白色なので、それが一番映えるものを…となると、他にありませんでしたね」
―パンダの肉球もかわいいです。
「はい。一番最初に開発したのが桜の盃なので、パンダの足の裏の肉球も、桜にアレンジしてみました。絵柄はグラスの外側に印刷してありますが、17度以下の温度に反応する塗料なので、冷たい牛乳を注ぐと、熱伝導でじわじわと白から黒へ色が変わっていきます。その様子も楽しんで頂けたら。逆に牛乳がぬるいと色が変わらないので、冷蔵庫で冷やしたものを注いでくださいね」
再販希望が多く寄せられていることについて「増販したいのですが、私どものような中小メーカーでは生産量も限られ、正直今は人手が追い付かない状態で…」としつつ「できるだけ早く頑張りたい」とも。一方で、これから夏に向かう中、「冷感転写」を利用した商品のアイデアも次々に生まれているといいます。
外国製の安価な陶磁器が増え、国内の産地も厳しい競争にさらされる中、ただ食べ物を盛る存在から、食器それ自体を楽しめるものへ。「これからは食器もビジュアルや付加価値をいかに上げていくかが重要になる。どんどん考え方を変えていかなければいけないし、新しい食器の形を提案していきたい」と同社。
考えてみれば、食器が安価になった頃から、ついつい扱いも雑になったような。でも、こんな楽しい食器なら...絶対大切にします!
通販サイトhttps://marumotakagi.buyshop.jp/