猫が「恋のキューピット」になって結ばれたカップルも!3匹のアイドル猫がいる貸本店

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 

 宮崎市内にある漫画本中心の貸本店「輝らら」。店主・吉谷千鶴子さんの飼い猫、白のチビ(オス、14歳)、茶白のピュア(オス、13歳)、キジトラのココア(メス、7歳)の3匹は常連客のアイドル的存在だ。最年長で貫禄のあるチビは、これまでに何度か「恋のキューピット」になったこともあるという。吉谷さんに話を聞いた。

 吉谷さん:14年前、男性客が近くの自販機で飲み物を買おうとしていたら、猫が車にひき逃げされ、足元に飛んできたんだそうです。彼がその猫をうちへ連れてきたので、すぐ病院に運びました。すると、お腹の中に7匹の赤ちゃんがいたんです。

 1匹の赤ちゃんは救えませんでしたが、母猫と6匹は助かりました。赤ちゃんのうち、5匹はすぐに貰われていったんですが、1匹だけ身体が大きくて、あまり可愛くない子が残ったんですよ。それがチビ。そこで私が引き取り、店で飼い始めました。

 チビは恋のキューピットなんですよ(笑)。いつも店内から外を眺めていて、道ゆく人たちの目にとまるので、いろんな人を惹きつけます。まさに看板猫です。

 3年前のある日、20代後半の男性が「店の前を通るたび、白い猫がずっと気になっていた」と店に入ってこられたんです。そのとき、店内には常連の30歳すぎの女性がいました。彼女は飼い猫を亡くし、ペットロスがようやく少し癒えたからと、たまたまその日、1年半ぶりにうちに来ていたんです。

 男性はその女性を見て一目惚れ。その日は会話もなかったのですが、次に2人が店で会ったときは、彼女が好きな漫画の話などで盛り上がっていました。それから彼が猛アタックしたそうです。3カ月後、彼から「婚約しました」との連絡が。さらにその1年後には、2人で赤ちゃんを見せにきてくれました。「もしチビがいなかったら、僕たちがこうして結ばれることはなかった」と、彼は幸せそうに話してくれました。

 その前には、こんなこともありました。「窓際の白猫が気になって」と、女性が初めてこられたんですが、そのときちょうど店にいた男性を見るやいなや、互いに「あーっ!」、「えーっ!」と声をあげたんです。どうしたの?と尋ねると、2人は15年前に付き合っていたそうなんです。

 ともに30代半ばくらい。名古屋で交際していたそうで、当時は互いにまだ若かったこともあり、別れてしまったとのこと。その後、女性は故郷の宮崎に戻ってきていました。男性はその日、宮崎の友だちのところにたまたま遊びに来ていて、名古屋に帰る直前でした。

 彼女は「実はずっとあなたのことが忘れられずにいた。こんな偶然があるなんて…」と、かつての彼氏を前に、驚きを隠せない様子でした。その2人もその再会がきっかけで結婚したんですよ。女性からは「チビ、ありがとう」とお礼を頂きました。どちらの話もなんだか漫画のような話ですけど、本当です。チビは窓辺で寝てただけなんですけどね(笑)

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