ピュアは、13年前のある雨の日、近くのスーパーで、お客さんが車をおりて店に駆け込もうとしたら、足元に生後2カ月くらいの子猫が急に出てきて、つまずいてしまい、保護してうちに連れてきた子です。ココアは7年前、学校の先生の車のエンジンルームに潜りこんでいたところを奇跡的に発見、救出され、うちの子になりました。2匹ともチビが育てたんですよ。オスでおっぱいも出ないのに、2匹がお腹を吸うもんだから、真っ赤に腫れていたこともありました。
チビが人を招く看板猫なら、ピュアは来店したお客さんのあとをついて回る案内役。ココアは人懐こくてお客さんと遊ぶのが大好き。それぞれが役割分担をしているようです。
当時高校3年生で、「自分は将来何をしたいのか」と悩んでいた男の子が店の奥で本を探していたとき、ピュアが寄ってきたのでなでていたら、ふと黄色い表紙の漫画本が目にとまったそうです。手にとってみるとレスキュー隊の物語で、その本に出会ったことがきっかけで「進路を決めました。ピュアのおかげかも」と。彼はいまレスキュー隊員になるための勉強をしています。
漫画って、人生を変えてしまうほどの力を持っていると思います。私は手塚治虫さんの「ブラック・ジャック」や、原泰久さんの「キングダム」に深く影響を受けました。人生で大切なことは、ほとんど漫画から学んできたような気がします。
宮崎市内で貸本店は、多いときで14件ほどありましたが、今はうちだけです。インターネットなどで気軽に漫画が楽しめる時代。アルバイトをしながら、なんとか店を切り盛りしていますが、経営は厳しいです。
でも、この子たちがいることで、常連のお客さんたちはいつも気にかけて寄ってくれますし、お客さんがこの子たちをなでるときの嬉しそうな表情を見ると、私まで幸せな気持ちになり、明日もまた頑張ろうと思えます。猫たちのおかげで私も生かされ、この仕事を続けられていることに、感謝の日々なんです。
【店名】「輝らら」
【住所】宮崎市昭和町20番地
【電話】0985-29-0922