時に動物は身近な人間よりも、心に寄り添ってくれることがある。3匹の愛猫と暮らすおたまさん(ms_burube)は、亡き愛猫・金四郎くんのぬくもりから、そんな無償の優しさを感じ取っていた。
「内緒ですが、夫よりも頼りにしてるパートナーでした(笑)。いつもそばにいて私の顔を見つめてくれる優しい存在だったんです」
行動を先回りする甘えん坊なストーカー猫
出会いは、2013年。「先住猫が寂しい思いをしないように…」との思いから、猫をもう1匹迎え入れようと決意。知人から動物保護活動に取り組んでいる人を紹介してもらい、金四郎くんを迎えた。
子猫の頃から金四郎くんは知的で、いつもおたまさんの行動を先回りしていたそうだ。甘えん坊でストーカー気質な金四郎くんに手を焼きながらも、おたまさんは幸せを感じていた。
「隙あらば私の膝に座って、甘えん坊モードになるところがかわいかったです。テレビを見ている時や在宅ワークをしている時など、いつでも一緒でした」
「がん」の発覚で穏やかな日々が一変
当初の期待とは裏腹に、金四郎くんと先住猫は寄り添い合うほどの関係にはなれなかった。だが、2匹は互いを拒絶しない不思議な関係を築いていたという。
「キンちゃんは、サイレントニャーの達人でした。目が合ったり話しかけたりすると、すぐにサイレントニャーを返してくれました」
また、身体能力を活かし、おたまさんの体に飛びつくことも。家事などをしている時に限ってジャンプをし、抱っこをせがむため、おたまさんは嬉しい悲鳴を上げていた。
穏やかな日々が一変したのは、2025年10月のこと。顔面麻痺や食欲不振の症状が見られたため、動物病院を受診した。獣医師からは中耳炎と告げられ、投薬をスタート。しかし、症状が悪化していったことから、別の病院でセカンドオピニオンを受けた。
転院先の病院では内耳炎や腫瘍の可能性があると言われ、CT検査を受けることに。その結果、唾液線の付近に扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)があることが判明した。
消えない後悔を抱えながら今ある命を愛す日々
金四郎くんのがんは広範囲に広がっており、骨の壊死も始まるなど末期の状態だった。抗がん剤治療をしても余命を数ヵ月、伸ばせるだけ――。その言葉を聞いたおたまさんは、緩和ケアを選ぶ。
検査からわずか1週間後の11月28日、金四郎くんは12歳(推定)で天国へ旅立った。
「亡くなる前日も、ご飯をねだったり膝に乗って甘えてくれたり、いつものキンちゃんでした。嫌がる投薬の後にも甘えてきてくれて。思い出すだけで涙が出ます。こんなに早く亡くなると分かっていたら、嫌がる投薬はしなかったかもしれません」
家族から「全参加」というあだ名がつけられるほど、人間の行動すべてに参加してくれていた愛猫を亡くした喪失感は大きかった。
「選んだ治療方針に後悔しましたが、きっとどんな治療法を選択しても後悔はしたと思います。生きてる間、これでもかというくらい愛情を注いできたつもりなので、これでよかったんだなと死を受け止めるしかありませんでした」
大切な愛猫を失った痛みは、簡単には癒えない。だが、おたまさんはその傷も大切に抱えながら、今生きている3匹の愛猫たちに愛情を注ぐ。2026年冬に迎えたサビ猫姉妹の「ねぎちゃん」と「わさびちゃん」は金四郎くんとの縁を紡いでくれた動物保護団体の人から譲り受けた命だ。
金四郎くんが繋いでくれた縁は、新たな命が救われるためのバトンになったのだ。
また、猫に生まれ変わってうちにきてほしいな。待ってるよ、金四郎――。金四郎くん亡き後、インスタに綴ったその願いはきっと天国にも届いていることだろう。