クラスター警戒の中…乗り鉄も撮り鉄も大集合 「ひのとり」初日は全席売り切れ状態

山本 智行 山本 智行

 大阪と名古屋を結ぶ近鉄の新型特急「ひのとり」(6両編成)が14日、予定通りにデビューした。ひのとりは現行の名阪特急「アーバンライナー」の後継車両。近鉄が名阪特急で新型車両を投入するのは17年ぶりのこととなる。式典では新型コロナウイルスの感染拡大に配慮し、テープカットなどは自粛されたが、多くの鉄道ファンが集まった。

 メタリックレッドの新型車両に乗り鉄も撮り鉄も集まった。新型コロナウイルスの感染が広まり、難波駅での記念式典ではマスク姿が目立ち、華々しくとまではいかなかったが、近鉄の幹部は「観光やビジネスなどで快適に利用してもらいたい」と話し、今後に期待を寄せた。

 ひのとりは、これまで活躍してきた「アーバンライナー」の後継で名阪特急にとっては実に17年ぶりの新型車両。そのため、営業運転初日のこの日は1番列車から終日全席売り切れ状態だった。

 大阪と名古屋は全国的にみても新型コロナの感染者が多いところ。クラスター感染を警戒する声も少なからずあったというが、ファンの期待に応えたもの。難波から乗車した30代の女性は「空気清浄器も設置されていると聞いていますし、車内は清潔で快適でした。今後も利用したい」と満足そうだった。

 車両の1両目と6両目はプレミアムカーとなっており、座席の前後の間隔が130センチもあり、広報担当によると「国内の鉄道では最大級のゆとり」とのこと。前面と側面が大型の窓ガラスになっており、高床式のハイデッカー構造とあわせ、視界が広いのが特長だ。

 また、後部座席にはみ出さずリクライニングできる「バックシェルシート」を国内で初めて全座席で採用。快適に過ごせるように有料のコーヒーサーバーや休憩用のベンチまで設けられている。

 この日はなぜかダブルブッキングが1件あり、改善の余地を残すが、評判は上々。あいにくの空模様となったが、沿線では傘を差したファンがカメラのレンズを構えたり、スマホの動画で撮影する場面もいたるところで見られた。

 所用で名古屋に向かうという40代の男性は「シートを倒すときに後ろの人に気を使わなくて済むのは助かります。それと耳を澄ますと、ときおり車内で鳥のさえずりが聞こえてきました。ひのとりに乗って名古屋に行くので、名古屋コーチンでも食べてきます」と上機嫌だった。

 ひのとりは大阪難波―近鉄名古屋駅間を最短2時間5分で結ぶ。全座席指定で乗車には運賃の他に特急料金、特別車両料金が必要。トータル料金は難波―名古屋でプレミアム車両が大人1人5240円、レギュラー車両が4540円。新幹線の新大阪―名古屋間と比べると1500円から2000円程度安い。難波発、名古屋発ともに1日6本を運行。「リーズナブルさと快適さをアピールしたい」とのことで、今後は現行の車両と順次置き換える方針だ。

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