新型コロナウイルスの感染拡大に伴うデマと漠然とした不安感により、マスクやトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどが各地の小売店で品薄状態になっている。業界団体などが「在庫はある。供給も問題ない」と呼びかけても、実際に行列や空っぽの商品棚を目の当たりにすると、「買えるうちに買わなければ」という心理が働いてしまうのも理由とみられる。そんな中、ドラッグストア店員を名乗る人がTwitterに「すみません、申し訳ございませんばかりで疲れました」「私たちも同じ人間です」と悲痛な訴えを投稿し、大きな注目を集めている。
関東地方在住で、ドラッグストア勤務歴12年というtamaさん(@tama_punpa)。売り場を担当する自分のような店員たちが今どんな状況にあり、日々どんな思いをしているかということについて、「コロナウイルスに感染し闘病してる方々が回復にむかうこと、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします」と前置きした上で、詳細に綴った。(以下、「」内の引用部分は原文ママ)
「1.5ヶ月前。まさにコロナによりマスクの供給不足となった頃から毎日毎日同じことを聞かれて、あげくキレられたりと増えてきました。『マスクの入荷はいつ?』『消毒ないの?』『いつもじゃない!』『病人がいていつも買えないのに、1個くらい取り置きしてよ!』今まで笑顔だったお客様が、全員鬼に見えます」
やがて購入数量の規制もかかるようになると、多く買おうとする人に説明しなければならない場面も増える。不服そうに文句を言う相手にひたすら「申し訳ございません」と頭を下げ続ける毎日に、tamaさんはすっかり疲弊してしまう。在庫の確認や入荷の見通しを尋ねる電話も鳴り続け、強いストレスを感じるようになったという。
「マスクの入荷日には列が半端なく、レジスタッフも今までにない状況に過呼吸や貧血を起こす人も出ています。そして2日前(※投稿は2月29日午前1時39分)から急に、今度はペーパー・生理用品・ベビーおむつまで買い溜めする方が増えました。ずっとレジから離れられない状況で、いつもの日常業務もまったくできなくなりました」
購入できなかった人からの苦情やイライラを毎日ぶつけられ、tamaさんは「コロナよりも怖いのは人間だと思います。目に見えないものより、目に見える人間が怖いです」と吐露。「少し落ち着いてください。謝ることに疲れました」と絞り出すように思いを明かした。
「(ニュースなどでは)商品が品薄になっていることばかりが取り上げられ、それらに関わる販売店側や携わるスタッフの日常が崩されてることが等閑視されていた」ことにもどかしさを感じていたというtamaさん。投稿が反響を呼んだことについて、「同じような状況下で働いてる方々からの共感も多く、心強さを感じました」と受け止める。「また、お客さん側の立場からも『こうしちゃってたかも』『裏でのスタッフさんはこうだったんですね』など、考えるきっかけとしてくださった方々もいて嬉しく思います」
なお、この投稿には「もう、人災ですね…毎日、一生懸命ありがとうございます」「その方々にかわり、すみませんと言わせてください」「無理なさいませんように」などの温かいコメントが相次いで寄せられている。