妻が夫に「稼ぎが少ない」はモラハラか?…継続的なら離婚理由にも

北村 晴男 北村 晴男

 俳優の東出昌大と唐田えりかが不倫関係となり、東出と妻の杏が別居していることが発覚した。夫婦関係にひびが入る原因としては浮気のほか、DVやモラハラ(モラルハラスメント)も大きな要因だ。モラハラについてデイリースポーツに、「妻に給与をほぼ全額渡しているが、こんなに少ないのと言われる。これはモラハラでしょうか」との声が寄せられた。ネット上にも、収入を巡る一方の言葉によって「尊厳を傷つけられた」との声が多く見られる。収入を「少ない」と決めつけるのはモラハラに該当するのか、該当するのなら離婚を申し立てることはできるのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞いた。

 北村弁護士は「モラルハラスメント自体、法律上の定義があるわけではありません」とした上で、夫や妻が懸命に働いて得た所得を「少ない」と否定的に決めつける言動は夫婦間であっても不法行為に当たる可能性は十分にあるとの考えを示した。ただし、1回だけの言動でただちに不法行為になるわけではなく、継続的な行為であるかどうかが判断する際に重要だという。

 継続的であるのなら裁判所に離婚を申し立てる理由となり、認められるのか。北村弁護士によるとそれほど簡単なことではなく
(1)どのような言い方であったのか
(2)どのような頻度で言われたのか
(3)どのように傷ついたか
(4)傷つくからやめてほしいと説明し、二度とそのような暴言を発しないように説得したのか
など、裁判所は総合的に判断して離婚の可否を判断するという。

 男性は自身の収入について「日本人の平均年収として公になっている数字のおよそ1・5~2倍はある」とし、「何千万も稼いでいるわけではないが決して少なくはないのでは」と妻の指摘に納得できないでいる。他方、男性は「妻はアルバイト経験しかないために給与所得への実感がないから致し方ないのだと思っているし、そのように反論することが何らかのハラスメントになるのでは」と考えており、妻への反論を控えていることがうかがえた。

 北村弁護士によると、反論すること自体がハラスメントになることはないという。「反論とか説明は普通に誰でもすること。大声で執ように怒鳴るなど、特別な場合でない限りは不法行為になりにくい」と述べた。男性は、給与のほとんどを妻に渡しているという。

 ハラスメントの法的定義は定まっていないというが、真面目に一生懸命働いて得た給与を「こんなに少ない」と否定されてしまったら、「モラル」に逸脱することは間違いないと思われる。夫婦関係に深い亀裂が生じないうちに、互いの意思疎通を計ることが求められるのではないだろうか。

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